コガタペンギン ただ今、婚活中? 長崎ペンギン水族館が繁殖計画

 ペンギンが絶賛「婚活」中?-。長崎市宿町の長崎ペンギン水族館はコガタペンギンの繁殖を計画している。飼育する4羽のうち1羽を東京の葛西臨海水族園の1羽と初めて貸し出し交換。加えて同園から2羽を借り入れる。“トレード”方式で持続的に羽数を増やしていく取り組みは、繁殖が難しい小型種としては先進的だという。

 長崎ペンギン水族館によると、コガタペンギンは体長約30センチ、体重約1キロ。世界に生息する全18種の中で最も小さく、背中が青黒いことから「ブルーペンギン」とも呼ばれる。

 国内での飼育数は昨年末時点で32羽。飼育数最多約1850羽のフンボルトペンギンと比べると「かなりの希少種」(担当者)。飼育する4施設のうち人工繁殖技術があるのは同水族館と葛西臨海水族園のみで、連携して数を増やすことが課題となっている。

 そもそも、どうして貸し出し交換するのか。施設内の数羽で交配を続けると、似た血統の子ばかりが生まれる。全く異なる血統を取り入れることで、野生に近い環境で多様な系統をつくる狙いだ。

 コガタペンギンの繁殖期は温暖な春の季節で、今は「お見合い」の時期。相性のいいペアは身を寄せ合って泳いだり、同時に鳴き声を発したり、一緒に巣へ入ったり…。互いに求愛行動を示しながら4月ごろに交尾期を迎える。雌は1度に2個の卵を産むことが多い。

 長崎ペンギン水族館には今月11日、雄2羽、雌1羽の計3羽が仲間入り。徐々に環境の変化に慣れつつあるという。代わりに2015年5月に同館初の繁殖に成功した雌「アニー」を提供。交換はおよそ3~5年間を設定している。コガタペンギンのうち1羽が先日死んだため、同館は現在飼育する全5羽で3年間に5羽程度の繁殖を目指す。

 担当者の田崎智さん(33)は「『スピード婚』が実現すれば今春にも新しい命が誕生する。相性のいいペアが生まれ、将来につながる繁殖となれば」と期待した。

東京の葛西臨海水族園から借り入れた3羽のコガタペンギン=長崎ペンギン水族館

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