4期連続プラス成長 個人消費、緩やかに増 県内18年度経済見通し

 浜銀総合研究所は、2018年度の県内経済見通しをまとめ、実質成長率を前年度比プラス1・4%と予想した。雇用所得情勢が改善し個人消費が緩やかに増加するほか、中国での設備投資需要や減税による米国の景気拡大などで輸出の増加も見込み、4期連続のプラス成長を見通した。17年度の予測値は、プラス1・8%とした。

 18年度の実質県内総生産は、33兆6936億円になると予想。「個人消費」では、企業の人手不足感の強まりによる雇用、所得情勢の改善を背景に、エコカー補助金や家電エコポイント制度で購入した耐久財が買い替え時期を迎えることや、19年10月に予定の消費増税の駆け込み需要などで緩やかな回復を予想。プラス1・2%とした。

 「住宅投資」では、18年度後半に消費増税前の駆け込み需要で増加の動きがみられる一方、貸家の建設需要縮小でマイナス2・2%と、悪化を見込む。小泉司主任研究員は「住宅が高値で手が届きにくくなっており、空室率も上昇している。今後の住宅ニーズも縮小が予想される」とした。

 「設備投資」はプラス2・5%。効率化や生産能力増強を目的とした投資の増加を予想。また、県内に集積する大手企業の研究開発機関での人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)など研究開発投資の活発化のほか、非製造業でも、横浜・みなとみらい21地区でのオフィスビル建設など、建設投資中心に高水準で推移するとした。

 「公共投資」は東京五輪・パラリンピックが開催される20年前後に向けて、高速道路、鉄道などのインフラ工事が進むほか、横浜市の港湾地区ではMICE(国際会議や展示会)、新市庁舎の整備などが本格化し、プラス2・0%を予想。

 「輸出」は、中国向けに産業用ロボットや工作機械のなどの輸出が好調に推移すると予想。米国でも減税による景気拡大で乗用車輸出などの堅調が見込まれるほか、世界的な半導体需要拡大で製造装置などの需要の高まりが期待できるとし、プラス3・5%とした。小泉主任研究員は「現在は20年を見据えて経済が盛り上がっている状態。その後も成長し続けるかどうかは、20年以降についてどういう絵が描けるか、ということにかかっている」と話している。

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