【MLB】2年で66億円超も…ダルビッシュ獲りへ、名物記者がヤ軍に“ウルトラC”提案

去就が注目されるダルビッシュ有【写真:Getty Images】

贅沢税回避を目指すヤンキース、6年総額133億円の契約に2度の「オプトアウト」?

 メジャーリーグのキャンプインが約1か月後に迫る中、FA市場でNO1評価を受けるダルビッシュ有投手の去就はまだ決着していない。ヤンキース、ツインズ、カブス、ドジャース、レンジャーズが候補に残っていると報じられているが、名門2球団にとって“障壁“となっているのが、贅沢税だ。選手の総年俸が規定額を超えると課徴金を支払わなければならない制度で、来オフは大物選手が多数FAとなるため、ドジャースやヤンキースは今季でいったんリセットすることを望んでおり、何が何でも贅沢税の支払いを回避するという方針を取っている。

 高い評価を受けるダルビッシュの年俸総額は当然、跳ね上がることが予想されており、ドジャースとヤンキースは価格が下がるのを待っているとも伝えられている。ただ、地元紙「ニューヨーク・ポスト」の名物記者として知られるジョエル・シャーマン氏は、ヤンキースに“超効率的”な契約を提案。契約を破棄してFAとなれる「オプトアウト」の権利を2度つけた6年契約を勧めている。

 同紙は「これでユウ・ダルビッシュはヤンキースと契約できる?」とのタイトルで、シャーマン記者の記事を掲載。アストロズがパイレーツからゲリット・コール投手をトレードで獲得する前、ダルビッシュに6球団が興味を示していると本人がツイッターで示唆したことなどに触れつつ、「ヤンキースが年間平均評価額を抑えようとしているなか、ダルビッシュはどうしたら望みのものを手に入れることができるのだろうか」と“問題提起”している。

 シャーマン記者は「今オフシーズン開始時、一般的に、彼は6年契約で毎年2500万ドル(約27億7000万円)を得るだろうと考えられていた」と指摘。ただ、ヤンキースがこの額でダルビッシュを獲得しようとした場合、贅沢税を考えると、トレードでの高額選手放出などかなりの大きな動きが必要となる。

 そこで同記者が“提案”しているのが、6年総額1億2000万ドル(約133億円)での契約。年平均2000万ドル(約22億1500万円)に抑えられている。他球団はさらに高額の提示をしている可能性が高いが、この“シャーマン案”にはからくりがある。

贅沢税の対象となる選手総年俸は年平均で計算

「私の考えはダルビッシュに6年1億2000万ドルの契約をするというものだ。最初の2シーズンでは各年3000万ドル(約33億2300万円)、次の2シーズンは2000万ドル、そして最後の2シーズンは1000万ドル(約11億1000万円)で、2年目と4年目の後、ダルビッシュはオプトアウトの権利を有する」

 最初の2年間は総額6000万ドル(約66億4560万円)で、このシーズンが終わった時点で、ダルビッシュは契約破棄してFAになることも可能となる。ただ、その決断を下さなかった場合には、さらに次の2年間は総額4000万ドル(約44億3000万円)の契約となる。そして、ここで再び契約破棄が可能に。行使しなければ、2年総額2000万ドルで残留となる。

 当然、2年間でしっかり成績を残せば、ダルビッシュは残りの4年総額6000万ドルよりもいい契約を求めて、FAとなる可能性が高い。何よりも、メジャー先発投手にとってトップ評価とも言える1年平均3000万ドルという金額は大きな魅力で、オプトアウトも選手にとってプラスとなる。

 一方で、ヤンキースも2年総額4000万ドルより好条件で再契約することは可能。シーズン終了までに契約延長交渉を行うこともできる。逆に、もしダルビッシュが結果を残せなければ、“減額”でチーム内に残すことができる。そして、同じことが2年後にも繰り返されることになる。年齢を重ねるとともにパフォーマンスが落ちるということも考慮すれば、6年間という長期契約であっても、チームとしては“不良債権化”も避けられるというわけだ。

 さらに、贅沢税を考慮しても理に適った契約となる。贅沢税の対象となる選手総年俸は、各選手のその年の年俸ではなく、年俸総額の年平均で計算される。ヤンキースとしては、なんとしても総年俸を抑えたいのは今季のみ。実際にダルビッシュには3000万ドルを支払う一方で、贅沢税の対象となる総年俸の計算では2000万ドルとして換算される。1000万ドルが“浮く”というわけだ。

 贅沢税回避へ、1ドルでも切り詰めたいヤンキースとしては、この1000万ドルの“差額”は大きい。シャーマン記者も「ダルビッシュには1億2000万ドルが約束されている。もし彼が健康で良い投球をしたら、2年目もしくは4年目の後にオプトアウトすることができる。この構成においてヤンキースのカギとなるのは税金(贅沢税)対策だ。1億2000万ドルの平均価値は6シーズンにわたって分散される」と指摘。この契約のメリットを強調している。

 まさに“ウルトラC”ともいえる提案。アストロズとの“争奪戦”に敗れてコールを取り逃がし、先発投手の補強を引き続き模索しているヤンキースは、実際にどのような手を打ってくるのだろうか。

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2