西岡、浅尾、吉見も…老け込むにはまだ早い、タイトルホルダー揃う84年世代

中日・吉見一起【写真:荒川祐史】

首位打者、盗塁王、MVPと数々の実績を残す1984年世代

 各チームの中心選手として活躍し数々のタイトルを獲得した選手が多いのが1984年世代だ。首位打者、盗塁王、最多勝、最優秀防御率、MVPなど一時代を築いた男たちの年齢も30代中盤に差し掛かり、中堅からベテランへと移行する期間といってもいい。今もなおレギュラーとして活躍する者、再起に懸ける者……。新天地で戦いに挑む男たちに注目してみた。

◯阪神・西岡剛(2010年・首位打者、2010年・最多安打、2005、06年・盗塁王)
2017年:32試合92打数21安打0本塁打5打点 打率.228
NPB通算(13年)1100試合4621打数1186安打61本塁打382打点 打率.289

 05年に41盗塁をマークし盗塁王。翌06年にも33盗塁を記録し2年連続で盗塁王を獲得した。10年には打率.346で首位打者、206安打で最多安打を記録。日本代表として06年の第1回WBC、08年北京五輪に出場。10年オフにポスティングを申請しツインズ入り。13年に阪神に移籍してからはケガとの闘いとなり、16年にはアキレス腱を断裂。リハビリを乗り越え17年に復活を果たしている。

◯中日・浅尾拓也(2010、11年・最優秀中継ぎ、2011年・MVP)
2017年:4試合0勝0敗 防御率12.00
NPB通算(11年)406試合38勝21敗200ホールド23セーブ 防御率2.38

 08年に守護神・岩瀬につなぐ勝利の方程式入りを果たすと、10年に47ホールドで初のタイトルとなる最優秀中継ぎ投手に。11年には球団記録の79試合に登板し防御率0.41という驚異的な数字を叩き出し45ホールドを挙げ2年連続で最優秀中継ぎを獲得。リーグ連覇に貢献し、さらに中継ぎ投手としては初のMVPも獲得した。16年は右肩の故障に苦しみ1軍登板無しに終わったが、17年にはセ・リーグ史上2人目の通算200ホールドを記録した。

◯中日・吉見一起(2011年・最優秀防御率、2009、11年・最多勝)
2017年:14試合3勝7敗 防御率5.23
NPB通算(12年)193試合83勝46敗11ホールド 防御率2.74

 08年に先発に定着すると09年に16勝(7敗)を挙げ最多勝を獲得。以降はエースとしてチームを支え11年には18勝(3敗)、防御率1.65の成績を残し最多勝、最優秀防御率のタイトルを獲得した。13年に右肘の手術を行ってからは徐々に成績を落とし、近年は右肘への負担軽減のため球数制限を設け先発している。

2度の入団拒否、新人王、自由契約から復活した男

◯巨人・長野久義(2011年・首位打者、2012年・最多安打、2010年・新人王)
2017年:134試合463打数121安打16本塁打46打点6盗塁 打率.261
NPB通算(8年)1093試合4058打数1160安打124本塁打448打点90盗塁 打率.286

 2度の入団拒否の末、09年に3度目のドラフトで熱望していた巨人に入団。ルーキーイヤーの10年は128試合に出場し430打数124安打19本塁打52打点12盗塁、打率.288で新人王を獲得。12年には173安打を放ち最多安打を獲得するなど、主に1番打者としてチームを牽引した。入団から8年連続で100安打、2桁本塁打をマークするなど安定した成績を残している。

〇ヤクルト・坂口智隆(2011年・最多安打)
2017年:136試合535打数155安打4本塁打38打点4盗塁 打率.290
NPB通算(15年)1221試合4420打数1239安打26本塁打341打点72盗塁 打率.280

 近鉄、オリックス、ヤクルトと3球団に所属。オリックス時代の11年に175安打を放ち最多安打を獲得、広角に打ち分けるバットコントロールが最大の魅力。12年に右肩を負傷してからは打撃不振に陥り、15年にオフには自ら退団を申し出て自由契約に。だが、16年にヤクルトに移籍してからは2年連続で155安打をマークするなど完全復活を印象付けた。

◯ソフトバンク・本多雄一(2010、11年・盗塁王)
2017年:62試合122打数26安打0本塁打11打点3盗塁 打率.213
NPB通算(12年)1280試合4588打数1267安打14本塁打339打点337盗塁 打率.276

 07年にレギュラーをつかむと俊足好打を武器にホークスの正二塁手として活躍。10年に59盗塁、11年には自己最多となる60盗塁を記録し2年連続で盗塁王を獲得した。近年はケガに悩まされ出場機会が減少している。 

◯ソフトバンク・長谷川勇也(2013年・首位打者、最多安打)
2017年:23試合37打数8安打7打点2本塁打1盗塁 打率.216
NPB通算(11年)1053試合3530打数1023安打64本塁打379打点77盗塁 打率.290

 13年に198安打、打率.341をマークし最多安打、首位打者を獲得。14年オフに右足首を手術すると足への負担を考慮されDHでの出場が多くなった。17年は若手の台頭、さらに古傷の右足首の状態も悪く自己ワーストの23試合の出場に終わった。オフには再び手術を行い万全の状態で今季にかける。

FA移籍、メジャー挑戦、所属先未定の選手も

◯オリックス・増井浩俊(2012年・最優秀中継ぎ)
2017年:52試合6勝1敗7ホールド27セーブ 防御率2.39
NPB通算(8年)402試合33勝28敗129ホールド110セーブ 防御率2.70

 入団時は先発としてスタートしたが、11年からセットアッパーとして起用されると、12年にはパ・リーグ新記録となる45ホールドを挙げ最優秀中継ぎを獲得。14年からは本格的に守護神を務めたが、16年には先発としても10勝を挙げている。17年オフにFA宣言し、最大4年契約でオリックスに移籍した。

◯楽天・岸孝之(2014年・最高勝率)
2017年:26試合8勝10敗 防御率2.76
NPB通算(11年)252試合111勝75敗0ホールド1セーブ 防御率3.02

 ルーキーイヤーの07年から1軍の先発ローテに定着し4年連続2桁勝利を挙げるなど西武のエースとして活躍。14年には13勝4敗、防御率2.51の成績を残し最高勝率のタイトルを獲得した。16年オフにFA宣言し地元・宮城を本拠地とする楽天に移籍した。

 また、ソフトバンクを戦力外となった大隣憲司は現役続行を目指しトレーニングを継続中。牧田和久は西武からポスティングでパドレスに移籍し、新天地で勝負に挑む。1984年世代はまだまだ球界を沸かせてくれそうだ。

(Full-Count編集部)

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