衣笠&山本、北別府&大野 赤ヘルの歴史に残る名手たち…広島の歴代投打5傑

主軸打者として広島の球団史にその名を刻んだ山本浩二氏【写真:Getty Images】

打撃部門は“鉄人”と“ミスター赤ヘル”が独占

 広島東洋カープは、プロ野球がセ・パ両リーグに分立した1950年に創設された。市民球団として今年で69シーズン目を迎える。カープの歴史を飾った歴代の名選手を、投打の通算成績で見ていこう。※は現役

○通算安打数5傑
1.衣笠祥雄 2543安打(1965-87年)
2.山本浩二 2339安打(1969-86年)
3.前田智徳 2119安打(1990-2013年)
4.野村謙二郎 2020安打(1989-2005年)
5.高橋慶彦 1741安打(1976-89年)

 1975年の広島初優勝時に主力打者だった衣笠祥雄、山本浩二が1、2位に並んだ。続いて21世紀に活躍した前田智徳、野村謙二郎と続く。現役では、阪神から2016年に復帰した新井貴浩が1311安打で1位だ。 

○通算本塁打数5傑
1.山本浩二 536本(1969-86年)
2.衣笠祥雄 504本(1965-87年)
3.前田智徳 295本(1990-2013年)
4.江藤智 248本(1990-99年)
5.金本知憲 244本(1992年-2002)

 安打数は衣笠だが、本塁打は山本。2人は同級生で良きライバルだった。続いて前田、江藤智、金本知憲とFAで他球団に移籍した選手が続く。現役では、これも新井貴浩が229本で最多だ。

○通算打点5傑 
1.山本浩二 1475打点(1969-86年)
2.衣笠祥雄 1448打点(1965-87年)
3.前田智徳 1112打点(1990-2013年)
4.新井貴浩 780打点(1999-2007年、2015年-)※
5.野村謙二郎 765打点(1989-2005年)

 打点も山本、衣笠、前田の順だが、4位に新井貴浩がランクイン。ちなみに金本は708打点だった。

○通算盗塁数5傑
1.高橋慶彦 464盗塁(1976-89年)
2.緒方孝市 268盗塁(1988-2009年)
3.衣笠祥雄 266盗塁(1965-87年)
4.古葉竹識 260盗塁(1958-69年)
5.野村謙二郎 250盗塁(1989-2005年)

 盗塁王3回の高橋慶彦が1位、続いて現監督の緒方孝市、衣笠、そして赤ヘルを優勝に導いた古葉竹識、野村と続く。監督経験者が3人いるのが興味深い。

左腕・大野は勝利数、セーブ数で5傑入り

 投手成績を見てみよう。

○通算勝利数5傑 
1.北別府学 213勝(1976-94年)
2.長谷川良平 197勝(1950-63年)
3.大野豊 148勝(1977-98年)
4.佐々岡真司 138勝(1990-2007年)
5.外木場義郎 131勝(1965-79年)

 唯一の200勝は北別府学。1992年に200勝を達成した北別府は、山本昌が2008年に200勝するまで16年間にわたり「最後の200勝投手」と言われた。続いて草創期からのエース長谷川良平、左腕の大野豊、佐々岡真司、外木場義郎と続く。97勝の前田健太がMLBに移籍したため、現役では野村祐輔の58勝が最多。黒田博樹は124勝で史上6位だ。

○通算奪三振数5傑 
1.川口和久 1938個(1981-94年)
2.佐々岡真司 1806個(1990-2007年)
3.北別府学 1757個(1976-94年)
4.大野豊 1733個(1977-98年)
5.外木場義郎 1678個(1965-79年)

 奪三振数は左腕の川口和久が1位で、佐々岡、北別府、大野、外木場と続く。現役最多は野村祐輔の529三振だ。

○通算セーブ数5傑
1.永川勝浩 165(2003-16年)※
2.大野豊 138(1977-98年)
3.佐々岡真司 106(1990-2007年)
4.津田恒美 90(1982-91.年)
5.中崎翔太 74(2012年-)※

 セーブは1975年に導入されたので、それ以降の投手が対象となる。現役の永川が史上1位だが、昨年は1軍で投げていない。大野は勝利数3位、セーブ数2位。現役中に夭逝した津田が90セーブで4位、現役の中崎が5位につけている。

初代監督に名物オーナー…カープを支えた偉人が殿堂入り

 最後に広島に選手、指導者として在籍し、殿堂入りした野球人を紹介したい。

○野球殿堂入り
1972年 石本秀一 指導者
1985年 白石勝巳 選手・指導者
1992年 廣岡達朗 指導者
1996年 衣笠祥雄 選手
1999年 古葉竹識 選手・指導者
2001年 根本陸夫 選手・指導者
2001年 長谷川良平 選手・指導者
2002年 山内一弘 選手
2003年 上田利治 選手・指導者
2003年 松田耕平 オーナー
2008年 山本浩二 選手・指導者
2012年 北別府学 選手・指導者
2012年 津田恒実 選手
2013年 大野豊 選手・指導者
2013年 外木場義郎 選手・指導者
2018年 金本知憲 選手

 カープ初代監督の石本、巨人草創期の名遊撃手で広島初期には主力選手として活躍し、監督も務めた白石勝巳が早々に殿堂入りしている。廣岡達朗は巨人の内野手だが広島の呉出身で、引退後にカープでコーチを務めた。根本陸夫は広島の捕手からコーチ、監督と転身。のちに西武やダイエーではGM的な存在として手腕を振るった。

 山内一弘は毎日・大毎、阪神で活躍した選手生活の晩年に広島でプレー。1971年に背番号「8」を山本浩二に譲った。上田利治は関西大時代に村山実とバッテリーを組み、プロでは広島の捕手に。若くして引退し、コーチとなる。のちに阪急で大監督となったが、昨年逝去。松田耕平は名物オーナーとして知られた。

 今の広島は若手選手が中心で、このランキングにはほとんど入ってこない。それだけ、将来性があるということ。今後現役選手がどこまで食い込んでくるか楽しみだ。

(Full-Count編集部)

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