【新18年、分野別鋼材需要動向を探る】〈(4)土木向け〉大型道路計画進み鋼管杭中心に堅調 セグメントもフル生産続く

 18年の土木用鋼材需要は、鋼管杭を中心に前年と同水準で堅調に推移する見通しだ。鋼管杭は東京オリンピック・パラリンピック関連道路需要や首都高羽田1号線など大型の道路プロジェクトが盛んで需要を下支えしている。

 昨年12月に行われた国土交通省の18年度予算大臣折衝では、物流ネットワークの整備による生産性向上などの加速が要求通り認められることになった。発表によれば「財投活用による整備加速予定箇所」として「大都市圏環状道路等の整備加速による生産性の向上」として圏央道(大栄JCT~松尾横芝IC)、東海環状(高富IC~大野・神戸IC、北勢IC~大安IC)をそれぞれ24年度から供用開始する計画となっている。

 また、圏央道(久喜白岡JCT~大栄JCT)の4車線化、東海環状(美濃加茂IC・SA~土岐JCT)の付加車線設置などをそれぞれ22年度から順次供用していく計画で、今後も鋼管杭の需要は堅調に推移するとの見方が強い。18年度は前年度と同水準の50万トンを超える高水準の需要が見込まれている。

 一方、鋼矢板は東日本大震災からの復興需要がピークアウトし、内需は減少傾向にあるものの、災害復旧や高潮対策などの需要が伸長。18年度も前年度と同水準の40万トン程度の需要が見込まれている。加えて、シールドトンネル工事などに使用されるセグメント需要は旺盛。フル生産での対応が続いている。大型プロジェクトであるリニア中央新幹線向けのについては、ゼネコンによる不正受注問題の影響が懸念されるものの、繁忙を極めている状況にある。

 軽量土木用鋼材については、道路向けは依然厳しい状況が続く。ただ、鉄鋼建材各社が連携して開発が進んだ中央分離帯用のワイヤロープ式防護柵は、高い衝撃吸収能力により死亡災害の抑制効果が発揮されるなど評価は高く、適用拡大が見込まれる。加えて、激甚化する自然災害への備えとして防災製品の需要の伸びも見込まれている。(村上 倫)

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