原料・資材の高騰、鋳鍛鋼業を直撃 生産回復も収益圧迫

 原材料・副資材価格の高騰で鋳鍛鋼メーカーが苦境に立たされている。昨年11月まで鋳鋼生産が11カ月連続前年同月比で増加し、鍛鋼生産も4カ月連続で増加するなど生産量は回復しているが、鉄スクラップ、電極など原材料・副資材価格の高騰によるコスト増に対して需要家への価格転嫁が進まず、収益が圧迫され始めている。

 昨年11月の鋳鍛鋼生産は鋳鋼(鋳放)が前年同月比4・0%増の1万4千トン、鍛鋼(打放)が同9・9%増の5万5千トン。17暦年は鋳鋼が6年ぶり、鍛鋼が3年ぶりにプラスとなるのが必至だ。

 需要機種別では鋳鋼は建機向けの回復度が大きく、船舶は落ち込みが止まり、金型、自動車、鉄道車両、工業炉などが堅調。鍛鋼は自動車向けがけん引し鉄鋼用ロールも好調。船舶向けの落ち込みは鋳鋼同様に止まったが、発電用機器は低調が続いている。需要機種ごとに好不調の差があり、メーカーによっては今も生産回復に至っていない。

 原材料価格では鉄鋼原料に加えてニッケル、コバルトの影響も大きい。国内鋳鍛鋼品の一部は高炉原料から製造されるが大半は電炉品であり、黒鉛電極の高騰も採算を直撃する。生産回復の一方で原材料・副資材高騰への対応策が喫緊の経営課題になっている。

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