鳥谷の藤田超えなるか、投手部門は村山圧倒…阪神の歴代投打5傑

阪神史上2人目の2000本安打を達成した鳥谷敬【写真:Getty Images】

藤田、吉田、掛布、田淵ら名打者がズラリ

 阪神タイガースは、1936年にプロ野球創設と同時に誕生した老舗チームだ。今季で83年目を迎える。この間、親会社は一貫して変わっていない。また本拠地も甲子園のままで高校野球の聖地としても有名だ。名門タイガースの歴史を飾った名選手を、投打の通算成績で見ていこう。※は現役

○通算安打数5傑 
1.藤田平 2064安打(1966-84年)
2.鳥谷敬 2015安打(2004年-)※
3.吉田義男 1864安打(1953-69年)
4.和田豊 1739安打(1985-2001年)
5.藤村冨美男 1694安打(1936-1958年)

 昨年、鳥谷敬が阪神史上2人目の2000本安打を達成。順調なら今シーズン序盤には、藤田平を抜いて史上1位になるだろう。鳥谷以外の4人はすべて監督経験者と豪華なラインナップとなっている。現役打者の通算成績は、ほぼすべて鳥谷が1位だ。

○通算本塁打数5傑 
1.掛布雅之 349本(1974-88年)
2.田淵幸一 320本(1969-78年)
3.真弓明信 277本(1979-95年)
4.岡田彰布 245本(1980-93年)
5.金本知憲 232本(2003-12年)

 1985年の優勝時に主力だった掛布雅之が1位、掛布の前に“ミスタータイガース”と呼ばれた田淵幸一が2位。3位、4位に同じく1985年の優勝時の主力の真弓明信と岡田彰布が入った。現役では鳥谷敬の137本が最多だ。金本は広島と阪神の2球団でそれぞれ200本塁打を打っている。

○通算打点5傑 
1.藤村冨美男 1126打点(1936-1958年)
2.掛布雅之 1019打点(1974-88年)
3.真弓明信 824打点(1979-95年)
4.岡田彰布 822打点(1980-93年)
5.金本知憲 813打点(2003-12年)

 初代ミスタータイガースの藤村冨美男が1位。藤村は創設1年目に入団した古豪だが、いまだに彼の打点を抜く打者はいない。現役では鳥谷の796打点が1位となっている。

○通算盗塁数5傑
1.赤星憲広 381盗塁(2001-09年)
2.吉田義男 350盗塁(1953-69年)
3.三宅秀史 199盗塁(1953-67年)
4.金田正泰 187盗塁(1942-57年)
5.田宮謙次郎 145盗塁(1949-58年)

 盗塁は赤星憲広が1位。故障のため早過ぎる引退が惜しまれる。続いて吉田義男。三宅秀史は昭和30年代に巨人の長嶋茂雄と並ぶ名三塁手と言われた。金田正泰はシャープな左打者でNPBのシーズン三塁打記録(18本)を持っている。田宮謙次郎は1958年首位打者で、長嶋茂雄の新人3冠王を阻止、のち大毎に移籍した。現役では盗塁も鳥谷敬の129が最多だ。

投手猛者には若林、村山、江夏ら、最強助っ人はメッセンジャー

 投手成績を見てみよう。

○通算勝利数5傑
1.若林忠志 233勝(1936-49年)
2.村山実 222勝(1959-72年)
3.小山正明 176勝(1953-63年)
4.江夏豊 159勝(1967-75年)
5.渡辺省三 134勝(1953-65年)

 若林忠志はハワイ出身の日系2世で、「七色の変化球」と言われた技巧派だ。村山実は江夏豊と共ににV9時代の巨人に立ち向かったエース。小山は「針の穴を通す」と言われた制球力の持ち主だったが、山内一弘との「世紀のトレード」で東京に移籍した。現役では98勝の能見が最多だ。

○通算奪三振数5傑
1.村山実 2271個(1959-72年)
2.江夏豊 2224個(1967-75年)
3.小山正明 1944個(1953-63年)
4.メッセンジャー 1271個(2010年-)※
5.山本和行 1252個(1972-88年)

 村山実、江夏豊、小山正明、昭和の名投手に続いてメッセンジャーがランクイン。今季が9シーズン目になり貢献度の高さがわかる。山本和行は昭和後期に先発、救援で活躍した左腕投手。

○通算セーブ数5傑
1.藤川球児 223(2000-12年、2016年-)※
2.山本和行 130(1972-88年)
3.中西清起 75(1984-96年)
4.田村勤 54(1991-99年)
5.久保田智之 47(2003-13年)
5.ウィリアムス 47(2003-09年)

 セーブは1975年に導入されたので、それ以降の投手だけを取り上げた。「JFK」と言われ、勝利の方程式を作った藤川、久保田、ジェフ・ウィリアムスの名前が並んでいる。藤川はNPB通算でも6位のセーブ数だ。

野球殿堂入りには歴代ミスタータイガースの名前

 最後に阪神に選手、指導者として在籍し、殿堂入りした野球人を紹介したい。

○野球殿堂入り
1964年 若林忠志 選手・指導者
1965年 景浦将 選手
1972年 石本秀一 指導者
1974年 藤本定義 指導者
1974年 藤村富美男 選手・指導者
1974年 野田誠三 経営者
1977年 西村幸生 選手
1978年 松木謙治郎 選手・指導者
1986年 松方正雄 経営者
1988年 別当薫 選手
1989年 野村克也 指導者
1992年 吉田義男 選手・指導者
1993年 村山実 選手・指導者
1995年 呉昌征 選手
1999年 中西太 指導者
2000年 米田哲也 選手・指導者
2001年 小山正明 選手・指導者
2002年 山内一弘 選手・指導者
2002年 福本豊 指導者
2002年 田宮謙次郎 選手・指導者
2011年 皆川睦雄 指導者
2017年 星野仙一 指導者
2018年 金本知憲 選手・指導者

 景浦将は、草創期に活躍したスラッガー。投手としても活躍したが惜しくも戦死した。石本秀一は阪神の2代目監督で、広島の初代監督も務めた。藤本定義は巨人、阪神の監督。野田誠三は阪神甲子園球場の設計者だ。松木謙治郎は阪神の初代主将としてチームを牽引し、別当薫は猛虎打線の中軸を担い、のち毎日に移籍した。阪神は野村克也、中西太、福本豊、星野仙一など他球団育ちの実績ある野球人を指導者に招聘してきた。この点、生え抜きを重視する巨人とは対照的だ。今年殿堂入りした金本監督もその一人だと言えよう。

(Full-Count編集部)

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