横須賀市立小中学校 2学期制継続も秋休み廃止 横須賀市

 市立学校の「学期制」について横須賀市教育委員会は、「現状を維持しながら、秋季休業(秋休み)の廃止や長期休業前の教育相談などの充実により、2学期制の特色を活かしていく」とした。学期制検討委員会の答申を受けたもので、来年度から中学校モデル校を設置、教育課程の見直しを行っていくという。

 夏・冬の休業期間を区切りにした従来の3学期制に変わって、4月〜10月を前期、3月までを後期とする2学期制。2000年代初め頃から取り入れる自治体が増えていた。学習指導要領の変更や学校5日制の開始に伴う授業時間数の確保、学校行事の充実が主な理由で、横須賀市内の市立小・中学校、特別支援学校では02年度から順次移行していた。

 市教育委員会では一昨年10月に有識者やPTA・学校関係者らの参加のもと、「学期制検討委員会」を立ち上げ、検証と課題を整理。「これまでの成果を踏まえながら2学期制を継続」としたうえで、「校種間の実情を考慮し、秋季休業について見直す等の改善を行う」と答申した。市教委はこれを受けて、夏季休業日を従来の8月31日まで戻すなどの方針をまとめた。小学校の学習指導要領改訂に合わせて、2年の移行期間を設け、「新たな2学期制」として、20年度に全面実施する。

授業時数確保に成果

 検討委員会での議論には多様な意見が上がった。3学期制では、「週の授業数の少ない教科においては学習の評定が難しい」「特に3学期は時間に追われて評価をしなければいけなかった」といった状況にあった。移行後は「授業時数の確保や、教育課程の編成における行事の精選やねらいの焦点化など教職員の意識にも成果があった」と評価している。

 しかし、長期休業前に成績表が出ないことで「学習成果の把握が難しい」「学校生活が途切れて継続性やリズムが失われる」といった意見もあった。これらをふまえて市の方針では、2学期制の趣旨の周知を図ることや、長期休業前の教育相談等を充実させ、学習状況や課題点を保護者や児童生徒に伝えていくことなどを盛り込んでいる。

3学期に戻す自治体

 県内の自治体では2つの学期制が混在している状況だ。このため、12月時点の評定が必要な高校入試の調査書において、2学期制では後期の途中に評価をしなければならないという。

 大和市では06年に2学期制に移行したものの「学習成果を短期間で知ることができ、長期休業中の学習に活かすことができる」「日本の風土や習慣、生活リズムに適している」として、15年度から「新しい3学期制」を導入している。大半の市立学校が2学期制を採用している横浜市では、「校長の権限でどちらかを選べる」として、3学期制を維持する学校もあるという。

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