ミゲルの生涯 思いはせ きょうから遺物展 諫早市美術・歴史館 墓所推定地で出土 ガラス玉など初公開

 16世紀の天正遣欧少年使節の一人、千々石ミゲルの墓所推定地(長崎県諫早市多良見町)で昨年発掘された出土遺物展が24日、長崎県諫早市東小路町の市美術・歴史館で開幕する。キリスト教の信仰用具の一部とみられるガラス玉59個や、25~45歳の女性と推定される人間の歯24本などが初めて公開され、謎の多いミゲルの生涯に思いをはせる空間となっている。

 墓所推定地にはミゲルと妻が埋葬されたとされ、民間の実行委が昨年8~9月、発掘調査を実施。ミゲルの子孫にあたる浅田昌彦さんが1月9日、出土遺物約580点を市に寄託したのをきっかけに、同館が遺物展を企画した。

 遺物展では、墓所推定地で出土したガラス片などの副葬品や人骨計91点のほか、市内で採集された「花十字紋瓦」や「観音菩薩(ぼさつ)像」、ミゲルの肖像画を基にした衣装など計104点が並ぶ。

 59個のガラス玉は白や青、藍、橙(だいだい)色があり、直径0・18~0・5センチ。その後の調査で判明した材質や製造技法もパネルで紹介。棺(ひつぎ)として使われた「長持(ながもち)」の部材にあたる「錠前(じょうまえ)」やU字型の「棹通(さおどおし)」も展示した。

 同館は「仏教様式の墓石だが、棺の中にキリシタンの副葬品があることから潜伏キリシタンと推定され、当時の地位や身分が垣間見える。諫早のキリシタン関連資料とともに見てほしい」としている。  2月5日まで(火曜休館)。観覧無料。

青、白、藍などのガラス玉59個
棺として使われた「長持」の「棹通」2本(右)と「錠前」
千々石ミゲルの肖像画を基に復元した少年使節の衣装など諫早に関するキリシタン史料も展示する出土遺物展=諫早市美術・歴史館

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