強含みの関西形鋼市況、メーカー値上げを価格転嫁 運転手不足で受注に支障も

 関西の形鋼市況は、年明け後も昨年後半同様、強含みに推移している。メーカーが連続的に値上げしているのに加え、物流費が上昇していることから「仕入れ値高になかなか追い付けないが、粛々と売値に転嫁していくしかない」(流通筋)としている。

 H形鋼や一般形鋼のメーカーは12~1月契約で各3千円の値上げを実施。東京製鉄は2月契約でも2千円の値上げを表明しており、他メーカーも追随する公算が大きい。この連続値上げの背景にあるのは、鉄スクラップ市況の上伸と電極や耐火物など副資材価格の高騰、物流費の上昇などによるコストアップだ。足元の鉄スクラップ市況は3万7千~8千円で推移。「高炉の溶銑コストに比べると割高だが、需給が緩み急速に鉄クラップ市況が軟化することも考えられない」(同)とする向きが多く、当面高止まりしそうだ。

 物流問題

 物流費の上昇は流通にとっても大きな問題となっている。物流費は「従来に比べ2割強上がっている」(同)との声も。また運転手不足からスポットの庸車が難しく「地方便では特に庸車が困難。営業マンは朝から車の手配に追われ、手配できないと受注できないケースもある」(同)と営業面のネック要因となっている。

 堅調な実需

 足元の相場はH形鋼、アングル・チャンネルともベース=8万4千円。11月下旬に比べ5千~6千円上伸したが、仮需はほとんど見られない。「相場が8万円を超え高水準なので、地方筋、二三次店は在庫意欲が湧かない」(同)とする。その一方で実需は堅調。景気が上向き、都心部でのビルの建て替え需要が旺盛で、100~200トン程度の鉄骨案件が途切れることなく出てきている。H形鋼やコラムの一次加工も繁忙状態が続いており、納期は7~10日かかる。「中小案件は納期が短く先行きを見通しにくいが、しばらくは継続に出てくるだろう」(同)とみる向きが多い。

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