米ノベリス、ケンタッキーに新工場 自動車用アルミパネル、北米生産4割増

 アルミ圧延世界最大手の米ノベリスは23日、米国ケンタッキー州ガスリーに自動車用アルミパネル(ABS)工場を建設すると発表した。自動車の軽量化に向けてアルミ材の採用比率を高める現地自動車メーカーの要求に応えるため、3億ドル(約330億円)を投じて20年までに年産能力20万トンの熱処理・表面処理ラインを新設。米国でのABS生産量を4割超引き上げる。世界のABS市場で先行するノベリスは、増産体制を強化して競合圧延メーカーとの差を広げる考えだ。

 ケンタッキー州南部ガスリーに新設する新工場は、ノベリスがUACJなどと共同運営するアルミ板の一貫工場「ローガン・アルミナム」(ケンタッキー州ルイビル)から数十キロメートルにあり、自動車メーカーの工場もほど近くに立地する。グリーンフィールドからの立ち上げであり、今春に工場の建設工事に入る。建屋完成後に熱処理・表面処理ラインを設置し、20年中の稼働を計画している。

 ABSは自動車のフードやドア、ボンネットといった部分に利用される材料。冷間圧延後に熱処理や表面処理を施した上で、自動車メーカーに納入される。

 近年は燃費規制の強化によって、軽量化素材として需要が拡大。世界のABSマーケットで先行しているノベリスはすでにトヨタやGM、フォード、FCA、ジャガー・ランド・ローバーといった大手自動車メーカーの200以上の車種に対してアルミ板材料を供給している。

 ノベリスは米国の主力製造拠点であるオスウェゴ工場(ニューヨーク州)に三つのABS用熱処理・表面処理ラインを保有し、年間約46万トンを作り上げる体制を整えている。今回の増産投資により、20年までに生産能力は66万トンまで拡充することとなる。20年の北米のABS需要は年間約170万トンと予測されており、ノベリスは市場規模の3割以上の能力を保有することになる。

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