永久別府劇場 取り壊しへ

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取り壊されることになった別府永久劇場=別府市北浜
別府永久劇場のステージで踊る牧瀬茜さん=別府市北浜

 別府の歓楽街で夜の文化を彩った「永久別府劇場」(別府市北浜)が閉館し、近く取り壊されることになった。ストリップ劇場や現代アートの発表の場として60年以上にわたって運営を続けてきたが、ここ数年は不定期のイベントの利用しかなく、所有するRC映画(同市)が売却することにした。街の盛衰の中で、何とかともし続けてきた灯が消える。

 20、21の両日、劇場を愛する有志が「サヨナラ興行」を開催。劇場にゆかりのある人らが出演し、バンド演奏やダンス、ストリップなどを披露した。会場は立ち見が出るほどで、最後は来場者もステージに上がるなど盛り上がった。全国のストリップ劇場などで活動する牧瀬茜さんは「お客さんたちの笑顔の中で踊れた幸せと、ここがなくなるという切なさを感じました。建物はなくなっても、劇場への思いや別府でできた縁は永久に続くと思います」と話した。

 劇場は1955年に映画館「第一ロマン」として開館。歓楽街という土地柄から数年後にはストリップ劇場に変わった。水槽を使った水中ヌードが呼び水となり、ホテルから観光客を無料送迎するほど人気を博した。だが別府観光の低迷もあって、98年に休館。2000年から北九州市の業者が「A級別府劇場」としてストリップ興行を再開したが、09年に閉じた。

 「出べそ」と呼ばれる回転式舞台や花道を備える独特な空間を生かして、10年から15年まではNPO法人ベッププロジェクトが運営し、現代アート発表の場としても親しまれた。以降は劇場を愛する人たちが音楽やファッションイベントの場として不定期で利用した。

 RC映画は、最盛期には県内で8館の映画館と劇場を運営。時代の流れとともに次々と閉館に追い込まれ、最後となった同館を何とか維持してきた。単発のイベントだけでの運営は難しく、建物も老朽化しており、苦渋の決断で手放すことにしたという。

 藤野守弘常務(87)は「最後のステージで、皆さんに喜んでもらえてよかった。人生の中で、共に歩んできた劇場。一つの文化がなくなると思うと寂しい」と語った。