【非鉄流通のいま】〈三井金属商事〉18年度経常益5億円目指す リサイクル分野の拡充推進

 三井金属商事(社長・城野裕隆氏)は、三井金属鉱業が100%出資する直系商社。1963年に三井金属鉱業60%、東洋鋼鈑40%の出資によって両社製品を取り扱う三洋金属として事業を開始した。89年に鋼鈑部門を分離して三井金属鉱業の完全子会社となり、三井金属グループに関連した非鉄製品や地金・スクラップなどを扱う傍ら、71年に化学・工業薬品商社の三宝商会、98年には印刷・メディア関連資材を扱う太洋印刷材料を買収して幅広い製品を扱う商社として事業を拡大した。

 販売ネットワークは東京本社のほか5支店(名古屋、広島、福岡、九州、台湾)と2営業所(大阪、仙台)。三井金属グループ唯一の商事会社で、三井金属鉱業各事業部の営業やグループ会社の国内営業代行も引き受けている。

 グループ商社として伸銅品や電解銅箔、各種地金製品、亜鉛製品といった非鉄金属関連やターゲット材など電子材料の販売、リサイクル材の調達・販売など扱う分野は幅広い。これらは三井金属鉱業の事業部とベクトルを合わせて拡販していくため、営業会議などにも積極的に参加し連携を深めている。一方で過去のM&Aで扱いを始めた化学薬品、印刷・メディア関連資材、環境・産業機器や、自前で販路を開いた自動車部品メーカー向けのアルミ二次合金・アルミ押出材などの販売も順調に進ちょく。グループ外製品の扱い比率は、全体の35%となっている。

 今年度は18年度を最終年度とする中期経営計画の2年目。最終年度の数値目標を売上高500億円、経常利益5億円とした。目標達成のためには「国内の販売機能を高めると同時に海外マーケットへの取り組みを強化する」(城野社長)とし、昨年末には台湾に初めての海外拠点を開設。またコア事業であるリサイクル分野の拡充を目指しており「海外市場からの銅原料調達を増やすと同時に、ハイグレード材以外の扱いも強化していく」(同)考えだ。

 こうした戦略を進めていく上で大切なのは人材の育成。最近は定期的な新卒採用を開始した。城野社長は「変化に対応できるではなく、変化を起こせる人材を育てていきたい」としている。(遊佐 鉄平)

会社概要

 ▽資本金=2億4千万円

 ▽年商=377億円(17年3月期)

 ▽所在地=東京都墨田区錦糸3―2―1アルカイースト9F

 ▽社長=城野裕隆氏

 ▽TEL=03―5819―9021

 ▽主な扱い商品=非鉄金属原料、加工品、電子材料、化学・工業薬品、環境・産業機器、印刷材料

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