三井金属、次世代電子基板向けで新材料 超微細な回路形成可能に

 三井金属は25日、次世代半導体パッケージ基板向けで超微細な電子回路を形成できる新材料を開発したと発表した。新製品の「HRDP」は持ち運びに用いるガラス板上にスパッタリングで極薄の銅系物質などを製膜した製品。回路の幅・間隔とも2ミクロンまで細くできる。スマートフォンの電子基板向けで需要を想定しており、端末の高機能・小型化に貢献する。現在、客先でサンプル品の評価試験が進められており、早期の量産化を目指している。

 ディスプレー用基板などを手掛けるジオマテック(本社・横浜市西区)と共同で量産技術を確立。生産はジオマテック社に委託して行う予定となっている。新製品はガラス板上に無機系物質の密着層と剥離機能層、回路の材料となる銅系のメッキ用シード層を重ねた構造。次世代の半導体パッケージであるファンアウト・パネルレベルパッケージに使う電子基板で、超微細な回路の形成や半導体チップの実装を高い生産性と信頼性で行えることが特徴となっている。

 三井金属では現在スマホ内の電子基板向けに微細な回路を形成できる極薄銅箔のマイクロ・シンを供給しており、世界的に高いシェアを有している。端末の高性能化など技術的な環境変化によって求められる回路の細さが銅箔で可能な水準を超えても、新製品で引き続きスマホ関連需要を捕捉できる。現在サンプル品はジオマテック社で生産しており、半導体パッケージ基板メーカーで評価試験が進められている。

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