ノベリス・米の車用アルミパネル新工場、ローガン工場から母材調達

 アルミ圧延最大手の米ノベリスが、総額3億ドルを投じて新設する自動車用アルミパネル(ABS)製造拠点のガスリー工場(米国ケンタッキー州)は、UACJなどとのアルミ板合弁工場であるローガン・アルミナムからアルミ板を調達する。飲料用缶材の生産能力の一部を自動車材向けに振り分け、自動車メーカーの増産要求に応える考え。このほどノベリス関係者が明らかにした。

 ガスリー工場は、アルミ板に特殊な熱処理や表面処理を施し、自動車メーカーに出荷するアルミ板の仕上げ加工専用工場で、今春着工に入り20年に稼働する見通しにある。総額3億ドルを投じる大型投資では新設するガスリー工場にプレ・トリートメントラインとヒート・トリートメントラインを1ラインずつ導入し、年間20万トンのABS生産能力を確保する」(ノベリス)とし「圧延設備は導入しない」(同)ことを明らかにしている。

 圧延設備を持たないガスリー工場では、ABSを製造するための母材コイル(冷延コイル)を調達する必要がある。これについてノベリスは「ローガン・アルミナムから調達することで計画している」(同)と説明。ローガン・アルミナムはUACJ子会社のトライ・アローズ・アルミナムとの合弁工場で、ノベリスは缶材専業拠点として位置付けていたが、自動車材の生産も開始する。ただしガスリー工場の能力20万トンの全量を缶材から自動車材に振り分けた場合には、缶材ユーザーからの要求に応えられなくなる。ノベリスは「今後は未定」としているが、ローガン・アルミナムの増強など、一段の投資が必要になる可能性もある。

© 株式会社鉄鋼新聞社