ホークス春季キャンプに“異変” 若手に明暗、A組に入った選手と漏れた選手

ソフトバンク・九鬼隆平【写真:荒川祐史】

ベテランの寺原、摂津、五十嵐の3投手もB組でキャンプイン

 プロ野球12球団が一斉にキャンプに入る2月1日まで、あとわずか。いよいよ、球春到来が目前に迫ってきた。各球団がシーズンに向けて状態を上げるだけでなく、新戦力の発掘など、1年を占う重要な1か月となる。

 2年連続日本一を狙うソフトバンク。2017年は夏場まで楽天と熾烈なデッドヒートを演じると、楽天が失速した8月以降も順調に勝ち星を伸ばし、終わってみれば、2位に13.5ゲームの大差をつけてパ・リーグを制覇。クライマックスシリーズ、日本シリーズも勝ち、2年ぶり8度目の日本一の座に立った。

 ソフトバンクといえば、2チーム分が出来るとも言われる豊富な戦力層を誇る。2017年も和田毅、千賀滉大、武田翔太、内川聖一、デスパイネなどなど主力に相次ぐ故障者が出ながら、その影響をほとんど感じさせなかった。石川柊太や上林誠知、甲斐拓也といった若手も次々に台頭。より一層の厚みをもたらした。

 まだまだ楽しみな若手は豊富にいる。だが、工藤公康監督が就任して4年目となる今春のキャンプでは、これまでとは若干様相が異なってきている。例年、主力中心となるA組には多くの若手を抜擢し、競争を促してきた。ところが、今年、A組に抜擢されたと言えるのは、栗原陵矢、九鬼隆平の捕手2人だけ。ルーキーの5人全員がB組スタートで、期待されている若手選手たちもほとんどがB組へ。ソフトバンクはA組もB組も同じ宮崎市の生目の杜運動公園でキャンプを張っており、即座の入れ替えが可能とはいえ、これまでにない形となった。

 これまでは“生き残り”をかけたサバイバル競争の形だったが、2018年は這い上がることを求められることになったホークスのキャンプ。A組の投手陣は少数精鋭の14人だけとなり、寺原隼人、摂津正、五十嵐亮太のベテラン3人もB組スタートとなった。ここでは、その中でA組に抜擢された若手をピックアップしつつ、A組から漏れた有望若手選手も紹介したい。

A組に抜擢された若手は栗原、九鬼の捕手2人だけ

○栗原陵矢捕手 
1軍通算3試合3打数0安打0本塁打0打点 打率.000
 2014年のドラフト2位で、春江工高から入団した捕手。高校3年の夏は甲子園出場を逃したものの、U-18日本代表に選出されて主将と正捕手を務めた。2017年に高谷裕亮の負傷に伴い、1軍デビューを果たした。オフに鶴岡慎也がFAで日本ハムに、山下斐紹がトレードで楽天へ移籍。1軍の捕手枠に最も近い存在で“打てる捕手”として期待されている。

○九鬼隆平捕手
1軍出場なし
 秀岳館高から2016年のドラフト3位でソフトバンク入りした強打の捕手。高校通算26本塁打を放ち、U-18日本代表でも4番を務めた。1年目の2017年はウエスタンリーグ21試合で2本塁打、3軍戦では64試合で7本塁打を放った。2018年が高卒2年目だが、捕手2人がチームを去ったこともあり、主力組が集まるA組に組み込まれた。

【B組スタート】
○松本裕樹投手
1軍通算16試合2勝4敗0セーブ 防御率4.85
 2014年のドラフト1位で盛岡大付高から入団した右腕。2016年に1軍デビューを果たすと、2017年には和田、武田ら怪我人が続出する中で先発ローテ入り。プロ初勝利を含む2勝をマークした。開幕ローテ入りを狙う4年目となるが、分厚い投手陣もあり、B組でのスタートとなった。

○田中正義投手
1軍登板なし
 2016年のドラフトで5球団が競合した最速157キロの右腕。創価大から入団したルーキーイヤーは開幕前に右肩の不調を訴えて離脱。シーズンのほとんどをリハビリに費やすことになり、1軍登板はおろか、2軍戦でもわずか1試合の登板に終わった。持っている潜在能力は申し分ないだけに、復活が期待される。

笠谷、古谷の期待の左腕2人もA組から外れた

○高橋純平投手
1軍通算1試合0勝0敗0セーブ 防御率12.00
 3年目を迎える2015年のドラフト1位右腕。県岐阜商高から3球団競合の末にソフトバンクに入団した。2017年4月に初の1軍登板を果たしたが、2本の本塁打を浴びるなど3回4失点。わずか1試合の登板でファームに降格となり、その後1軍登板は無かった。2018年は勝負の年となりそうだ。

○笠谷俊介投手
1軍通算3試合0勝0敗0セーブ 防御率0.00
 A組に抜擢された栗原と同期入団の左腕。2014年のドラフト4位で入団し、2017年に大きなインパクトを残した1人だ。2016年オフに和田毅に弟子入りして自主トレを共にしたことで一変。最速149キロまで球速を伸ばし、8月に1軍初昇格、デビューを果たす。デビュー戦で2イニングで3つの三振を奪うなど、3試合に投げた。開幕1軍入りに近い1人だが、B組スタートとなった。

○古谷優人投手
1軍登板なし
 2016年のドラフト2位で北海道の江陵高から入団した最速154キロ左腕。2017年の最終戦で1軍昇格を果たしたが、登板機会はなし。それでも、クライマックスシリーズに向けた紅白戦で、強力なソフトバンクの打者を相手に2イニングをパーフェクト。2018年の飛躍が期待されたものの、オフに「胸郭出口症候群」であることが発覚。手術を回避し、投薬治療を選択して2018年シーズンに挑むことを決断したが、キャンプはB組からのスタートとなった。

(Full-Count編集部)

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