佐世保魚市場のブランド養殖アジ 花美鯵 対米輸出が好調 品質、安全性 評価

 鮮魚卸の佐世保魚市場(長崎県佐世保市)が手掛ける米国向けの養殖アジ事業が好調だ。2015年度に「花美鯵(はなみあじ)」のブランド名で輸出を開始。品質に加え餌の管理など安全性が評価され、品薄の状態が続く。天然魚のほうが好まれる日本では商品化していないが、金子卓也会長は「養殖のレベルは年々上がっている。将来はおいしい本県の養殖アジが国内にも出回るようにしたい」と話す。

 手間や経費がかかる養殖事業は、マグロやフグといった高級魚を手掛けるのが主流だ。しかし同社は、水揚げ量で全国トップを誇る本県のアジに着目。1年を通し質のいいアジを提供すれば、漁業者の収入安定につながるとみて参入した。

 五島や北松、平戸の漁業者と協力し、稚魚を約1年半かけて成育。150グラムほどで出荷する業者が多い中、フグやタイの養殖ノウハウを持つ業者の協力を得て、300グラムまで成長させ出荷している。脂質は天然物より高く、年間を通し平均14%を確保している。

 福岡からロサンゼルスに週3便、ハワイに週2便空輸し、現地のレストランに卸している。年間出荷量は約20トン。国内価格の3倍に当たる1匹600円前後で取引されているが、品薄状態が続いている。

 同社は、食品衛生管理の国際規格「HACCP(ハサップ)」を取得している。同社は「米国で重視される安全性が評価されている点も、現地で受け入れられている大きな要因だ」としている。

佐世保魚市場の養殖アジを使った米レストランのメニュー(同社提供)

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