JA野菜栽培教室、一般にも開放 長崎せいひ 直売所への参入に期待

 直売所に出荷する農家の生産力向上を目指し、JA長崎せいひ(本店・長崎市)が管内各地で定期的に野菜栽培講習会を開いている。農家の高齢化を見据えて一般にも開放、定年帰農者らの参入につながればと期待している。

 「直売所は品物がなければ成り立たない。今は品不足で作れば売れる時代なのでどんどん作ってください」。JA長崎せいひ地産地消課の営農アドバイザー、前田博泰さん(59)が約70人の受講者に呼び掛けた。24日に長崎県長与町と共催で開いた講習会の一場面だ。

 前田さんは2カ月に1回のペースで管内7カ所を回り講習会を実施している。同日は今年の冬野菜の高騰原因を分析しながら、野菜別の肥料の与え方、スイカやカボチャなどつる性野菜の栽培管理法を講義。種苗メーカーのカタログも配布した。

 受講者は熱心にメモを取りながら耳を傾けている。ある農家の女性は「地元の直売所に野菜を出荷しているが、この講習会はいつも参考になる」、別の女性は「家庭菜園を始めようと思っているので参考にしようと聞きに来た」と話した。

 JA長崎せいひが運営する直売所は2市2町に11カ所。2016年度の販売高は合計13億6500万円に達しているが、今後の不安材料は農家の高齢化による入荷量の減少。前田さんは一般の参加者について「定年後などに趣味で家庭菜園を始めた人に基礎を覚えてもらい、農業に目を向けるきっかけにしてほしい」と話している。

野菜栽培講習会の講師を務め、直売所への積極出荷を呼び掛ける営農アドバイザーの前田さん=長与町老人福祉センター

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