西彼・西海 逃げ切りV 林 区間賞 最後の恩返し 選手層の厚さ勝因

 「連覇に挑戦」。1年前に掲げたスローガンを西彼・西海が見事に達成した。日間首位は第1日のみ。全員で粘って、粘って逃げ切った。辻川総監督(満寿美観光)は「誰かが遅れても次で挽回してくれた」と選手層の厚さを勝因に挙げた。

 最終日は林(大東大)が流れを呼び込んだ。最長区間の1区(19・2キロ)。2位大村・東彼の定方(東洋大)が抜けだし「1分近くやられるかも」と不安がよぎった。ただ、「体が動く感覚はあった」。自分を信じて前を追い、ラストスパートでかわした。勢いづいた水色のたすきは、最後まで安定してつながった。

 卒業後は北海道で酪農の道に進むため、ラストランとなる。西海南小1年から陸上を始め、箱根駅伝も経験したが、「16年間続けてきた中で、一番いい走りができた」。地元への恩返しとなる区間賞で花道を飾った。

 小学生から大学まで競技を続ける選手が多い。今回は「10キロを1キロ3分10秒ペースで走れる力」を選出条件とした。県下一周駅伝に出ることを目標に、各人が大学で成長。監督陣は小まめに連絡を取り合い、選手の調子を把握した。大学生7人がメンバー入りしたが、出たくても補欠に回った人もいたという。

 新春の箱根駅伝10区5位の江島(国学院大)は「去年の県下一周駅伝を走らせてもらえて成長につながった」と振り返る。来年もジュニアから育ってきた高校生、大学生がそれぞれの所属チームで力を付ける。辻川総監督は「いいサイクルが生まれている。3連覇を目指す」と力強く宣言。また、1年かけた選考レースが始まった。

逆転で区間賞を獲得した西彼・西海の1区林(大東大)=南島原市

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