古河電工、アルミ電線用防食端子自動圧着設備を外販 車向けアルミハーネスの普及促進

 古河電工はアルミハーネス事業を強化する。29日、自動車用ワイヤハーネスメーカーの古河AS(本社・滋賀県犬上郡、社長・柴田勝美氏)がアルミ電線に適用する防食端子に対応した自動切断圧着機を4月から販売すると発表した。高い防食性を実現する独自圧接技術を搭載した設備をワイヤハーネス、コネクタ専業メーカーに拡販。自動車用アルミハーネス市場における「α端子」のデファクト化を目指す。

 「α端子」は優れた防食性を保ちつつ、アルミハーネスの接続コストを低減できる新型端子。アルミ電線と銅電線を接続する際に課題となる電食を防止するため、電線を管状の端子挿入部に差し込み、かしめることで実用化を実現した。

 古河ASでは独自製品として「α端子」を活用したアルミハーネスの販売を15年から開始し、多くの自動車メーカーから好評を得ている。一方で、自動車メーカーから「古河以外のハーネスから調達はできないかという要望が高まっていた」(古河電工)とし、電線に「α端子」を接続するための圧着設備を外部へ販売することを決めた。競合他社へも圧着設備を提供することで、「α端子」の普及拡大を目指す。

 このほど国内の機械メーカーと共同で開発した「α端子シリーズ」の自動切断圧着機はハーネス1本当たり3秒(1500ミリ時)で圧着ができるほか、電線の装入を保証するためにレーザーマーキングや画像検査装置を導入。不良を自動で検出できる機能を保持している。これらの設備は共同開発した機械メーカーの海外工場で量産を開始しており、4月から本格的に販売する。製造や販売、メンテナンスなどのサービスは機械メーカーが担当する。販売目標は年間10台程度としているが、今後は欧米や中国、東南アジアなどでも拡販していく方針。

 古河ASは独自の製造設備を外部に販売することで、アルミ電線マーケットにおける「α端子」の存在感の向上を図るほか、設備購入者に対して「α端子」を販売することで「α端子」の販売量拡大も狙う。現在1億ピン程度の生産量を、25年までに5~10億ピン程度まで引き上げたい考えで、「予想通り進捗すれば、当社としては現在2機のα端子の生産設備を増強する必要が出てくる」(古河AS)としている。

 古河ASは自動切断圧着機の販売を進める一方、これまで乗用車やトラックといった四輪自動車向け中心だったα端子を二輪自動車向けにも拡販する。需要に合わせて現在21品種の製品ラインアップを拡充していく考え。

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