がん患者150人に影響 がんセンター調査報告

 神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)の放射線治療医が相次いで退職し重粒子線治療が中断の危機に直面した問題で、県は29日の県議会厚生常任委員会で、新規受け入れ制限などで150人近くのがん患者に影響を及ぼしたと明らかにした。議会側は退職理由に関する調査結果を問題視、同病院と県立病院機構の両トップらを参考人招致して事情を聴く方向で一致した。

 がんセンターの問題に特化して開いた同委員会で、委員側から出席を求められた首藤健治副知事は「県民に不安や不便を掛けたことは大いに反省し、心よりおわびする」と陳謝。同様の事態が二度と起きないよう、横浜市立大など医学部を有する大学と連携して人材を育成し、医師の安定確保に努める意向を示した。

 県によると、昨年12月中旬から新たな患者の受け入れを制限したところ、新規患者数は昨年同時期と比べ125人減少した。このほか、重粒子線治療を受けていた4人が千葉県の専門施設に、放射線治療中の14人が近隣の医療機関に転院したという。

 委員からは、県が今月24日に公表した調査結果や今後の見通しに対する苦言が続出。退職原因の分析にとどまり具体的な改善策を示さない姿勢に、「誰も責任を取らず不安定な組織を立て直さなければ、新しい医師が来てもまた辞めることになる」「県がもっと早く是正を求めていれば大きな問題にならなかった」といった指摘が相次いだ。

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