対州そば、農水省GI登録へ 地域ブランドを保護、振興

 農林水産省は、長崎県対馬市のそば在来種「対州そば」について、農林水産物や食品を対象とした「地理的表示保護制度(GI)」への登録申請を公示した。農水省の担当者は長崎新聞社の取材に「対州そばは、学識経験者からの意見聴取などを経て、早ければ4月末ごろに登録される見込み」と見解を示した。

 申請者の対州そば振興協議会(会長・桐谷安博JA対馬組合長)や農水省などによると、対州そばは縄文時代後期、原産地である中国南部から朝鮮半島を経由し、そばとしては日本に最も早く対馬に伝わったとされる。ほかのそばと比べて実は小粒だが、食味・風味に優れ苦味がある。離島のため他の品種と交雑せず原種に近い特徴が保存されてきたとみられている。

 農林水産物や食品のGI登録は、農水省が地域ブランドの保護と振興を目的に2015年6月に始めた。登録されると、登録標章(GIマーク)を付けることができ、他産地などによる不正表示は行政機関が取り締まる。対州そばについては同協議会が15年12月に申請し、農水省の現地調査などを経て17年12月25日に同省ホームページ上で申請が公示された。

 既に登録されているのは北海道の「夕張メロン」や熊本県の「くまもと県産いぐさ」など58産品。長崎県では国税庁が酒類を対象にしたGIとして「壱岐焼酎」を登録しているが、農水省のGI登録はまだない。

 同協議会長の桐谷会長は「対州そばは収量が少なく、ほとんど島内で消費される“幻のそば”。登録されれば、島内に観光客を呼び込む大きな助けになるのではないか」と期待を寄せる。

対州そばの実と、ざるそばを手にする桐谷会長=対馬市厳原町下原、体験であい塾「匠」

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