住友商事、子会社への金属事業移管7000億円規模に 新生「住友商事グローバルメタルズ」4月1日始動

一部ステンレス、チタンは住商メタレックスに移管

 住友商事は、金属事業の一部を子会社の住友商事グローバルメタルズ(SCGM、本社・東京都中央区、社長・坂田一成氏)と住商メタレックス(本社・東京都千代田区、社長・山脇義史氏)へ移管する方針を打ち出していたが、30日に住友商事と住友商事グローバルメタルズ、住商メタレックスとの間で会社分割に関わる吸収分割契約を締結することを決議したと発表した。移管内容を決め、4月1日に正式に新体制が始動することが決まった。住友商事グローバルメタルズへ移管されるのが売上高7073億円(2017年3月期実績を基に計算)、住友商事グローバルメタルズの子会社となる住商メタレックスへの移管が売上高451億円(同)となる。

解説/国内鋼管とアルミ製品、移管対象から外す

 住友商事グローバルメタルズへの移管対象事業は、(1)薄板(一部の国内向け電磁鋼板など除く)(2)自動車鋼板(3)線材・特殊鋼(4)厚板(5)建材(6)メカニカル鋼管(国内のエアバッグに関わる事業を除く)・特殊管(国内取引を除く)―の各事業。

 当初からの変更点は(1)国内鋼管事業について、メタルワンとの間で事業再編統合の検討を進めており、その対象となる可能性がある事業は除く(つまり貿易のみを移管対象とする)(2)アルミの地金は本体に残し、アルミの製品事業は移管する方針だったが、上下一貫で事業を手掛けるのが望ましいとの判断からアルミ製品を移管の対象外とした―の2点。事業会社の株式移管に関しても、住商鋼管の株式は同様の理由で対象外とする。

 移管する売上高が当初の9200億円から目減りしたのは、この2事業が対象外となったことと、計算の基となる実績年度が替わったためだ(15年度から16年度に)。

 新生・住友商事グローバルメタルズは、資本金を97億円増額し、100億円とする。4月1日時点での従業員数は約550人となり、ほぼ半数が住友商事からの出向となる。拠点は東京本社のほか、関西支社・中部支社の国内3拠点。広島や浜松には分駐の形で駐在員を置く。

 住商メタレックスへの事業移管は(1)特殊鋼板事業部の営むステンレス事業(2)チタン・高機能材料に関わる事業(3)熱交換器用アルミ材料に関わる事業―の3事業が対象となる。基本合意書の内容に加え、熱交換器用アルミ材料に関わる事業を加えた。

 今回の移管後、住友商事本体に残るのは(1)シームレス鋼管を主体とする油井管(2)大径管を主体とするラインパイプ(3)鉄道の車輪・車軸や自動車向けクランクシャフト(4)アルミ地金・製品事業―など。住友商事の他部門と特に連携が強いビジネスや、市況要素が強く本体でのリスク管理が必要な事業を中心に、本体(住友商事)に残る形となる。

 住友商事は今年秋に本社移転を予定している。4月1日に社長が交代し、19年度には創立100周年の節目を迎える。金属製品事業の構え(体制)を新たにし、総合力と専門性を両立する形で商社機能の最大化を図ることができるか、注目されるところだ。(一柳 朋紀)

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