金属行人(1月31日付)

 寒い朝が続く。東京都心では25日に48年ぶりという最低気温マイナス4度を記録した。府中市ではなんとマイナス8・3度。統計をとり始めて以来、最も低い気温という▼異常気象の原因は諸説取り沙汰されるがエルニーニョ、ラニーニャ現象による影響が大きいとされる。一昨年の夏からは太平洋西部の海水温が高くなるラニーニャに入っている。1~3月は通常、北半球で寒波が猛威を振るい、南半球では大雨が降りやすい▼高炉メーカーが購入する原料炭の一大産地、オーストラリア東部では昨年、ラニーニャ現象の中で大型サイクロンが発生。輸送用鉄道に影響が出て原料炭の価格高騰を招いた▼原料炭は2011年初にも1トン300ドル超に急騰した。サイクロンによる大雨でクイーンズランド州の露天掘り炭鉱が水没した時だ。この年も太平洋ではラニーニャ現象が発生していた▼現地気象局によると、今年のラニーニャは昨年よりも小ぶりで、期間も短いという。1~3月は、11年当時と比べて降水による影響は小さいと予測している▼鉄鉱石や原料炭の価格を左右する突発事象。かつては鉱山ストライキが有名だったが、今は天候。原料炭の供給不安は足元でやや後退気味だが、自然が相手だけにまだ予断を許さない。

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