【片言隻句】トラック「減らして」

 「トラックの数を減らしてもらえないかと契約先の運送会社に頼まれたよ」と地区鋼材特約店の社長がつぶやく。

 運送会社とは台数も含め契約している。しかし、運転手の数が足りない。運転免許証の規定も変わった。ますますドライバーの確保は難しくなる。仕事も増える一方。結果的に対応できなくなる。運賃の問題もさることながら、とにかく、世の中に配達の仕事はおびただしく増えている。アマゾンなどのネット通販に、レストランやスーパーの配達業務。暮らしは着実に、消費者が出かけていく時代から「来てくれる」社会に向かっている。タクシーの利用が減り、トラックは増える。

 特約店の商いは、当用買いが普通になっている。ロットも小さく、納期も短い。配送の便数は増え、ますますタイト化する物流環境。流通加工の現場も人手不足だ。そこにトラックの数を減らすという話。今年の需要は堅調で現物は品薄だが、安定供給に向けてどう工夫すべきか。共同配送でも構想するか…難しそうだ。

 近い将来、無人運転で顧客に間違いなく荷が届く日が来るか。それとも空飛ぶドローンで届けるか。そんなことを考えている暇があったら「手伝ってくれ」との声が聞こえそうだ。世の中、持ちつ持たれつ。助け合っていきたいものだが。

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