田村でのドローンの取り組みは慶大との連携協定から
田村市は2016年12月に、ドローン研究に積極的に取り組んできた慶應義塾大学と〝ドローン連携協定〟を締結し、ドローンによる地域活性化を加速させました。その第一弾として、市内にある唯一の高校、福島県立船引高校でドローンの知識、技能を伝授する「ドローン特別講座」を開催し、有志の生徒達がゼロからドローンを学びはじめました。DroneTimesは、機会があるたびにその様子を取材して参りました。
特別講座に参加した生徒達は手に触れるのもはじめて、という状況からほぼ9か月後、国交省の許可承認を取得し、野外音楽フェス会場でドローンによる空撮を任されるまでになりました。会場では空撮と、ドローン体験会で活躍しました。これをきっかけに、来場者、市民の多くが、田村市に高校生によるドローンチームがあることを知ることになりました。高校生ドローンチームはその後、地元の祭りや、防災訓練でも活躍することになりました。
謙虚で控えめな田村市民ら「うちの高校生はたいしたものだ」の声
田村市はある調査で、1000ある市のうちの、966位の知名度だったそうです。素朴で控えめな土地柄で、そこに住む人々に名物をたずねると「うちにはなにもないですよ」と答えが返ってきます。そんな気質もランキングに表われているのかもしれません。田村市らしい魅力はしっかりとあるのに、物足りなささえ覚えたものです。
そんな田村市の人々が、「うちの高校生たちはたいしたものだ」と口にするのを聞いのは、防災訓練のときでした。高校生がドローンを飛ばす様子を眺めた市民の方に「あのドローン、高校生が飛ばしているんですよ」と話しかけたら「そうですってね。聞きましたよ」に続けて、たいしたものだ、とおっしゃったのです。うれしかった。録音しておけばよかった、と悔やみました。
うれしかったのは、この取り組みのひとつの目標が、地域が誇りを取り戻すこと、と考えていたからです。この取り組みで指導者側の現地での中心的役割を果たしてきたのは、慶大ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹事務局長(大学院政策メディア研究科特任助教)です。南先生の熱心で、地道で、フラットな指導が、こんな形を芽吹いた現場を目撃できたことを、このとき心からありがたく感じました。
南先生によると、高校生へのドローン講座は、2018年は一段、ギアをあげるようです。
(参考:https://www.dronetimes.jp/articles/2440)
ホップなどの栽培にもドローンを
田村市も2018年に、ドローンの取り組みを広げることになるそうです。
すでに農業利用については、慶大、田村市、ドローン事業者、地元生産農家の意見交換が始まりました。ホップ栽培にドローンを活用する取り組みもスタートします。2018年は田村市がドローンの実用を支援する地域として、さらに知られることになりそうです。
皮籠石副市長は、ドローンに関する取り組みの今後の構想を話してくれました。これがまとまればDroneTimesでもご紹介します。今後の田村市や、田村市に住む人々、田村市に集う人々の動向に大きな期待をしています。