介護実習で外国人受け入れへ 県ごとう人材確保・育成協同組合 長崎県内初「監理団体」に認定

 昨年11月、国の「外国人技能実習制度」に新たに介護職種が追加されたのを受け、長崎県五島市の9事業者でつくる「県ごとう人材確保・育成協同組合」が、介護分野での「監理団体」に県内で初めて認定されたことが分かった。早ければ今秋にも、フィリピン人5人を受け入れる予定。

 認定は1月22日付。監理団体は、事業協同組合や商工会などの非営利団体から構成され、出身国側と受け入れ先をつないだり、実習の実態をチェックしたりする役割を持つ。監理団体は、国の認可法人「外国人技能実習機構」から許可を受けなければならない。

 受け入れ先への監督強化などを盛り込んだ技能実習適正化法が昨年11月に施行されたのに伴い、農業、漁業、建築分野などが対象だった同制度に初めて対人サービスの介護職種を追加。受け入れには、長時間労働や賃金不払いなどの問題を監視する「監理団体」の設置を求めている。

 「県ごとう人材確保・育成協同組合」は国の制度改正を見越し、2016年2月に発足。同市で特別養護老人ホーム「きじの里」を運営する同組合の神之浦文三代表理事(58)は「介護分野は人材不足。10年後、20年後を乗り切るためには外国人労働力が大きな戦力になる」と期待する。

 介護職種の在留期間は最長5年。実習生を受け入れる監理団体は「5年以上の介護職経験者がいること」などが条件。外国人技能実習機構によると、介護職種の認定監理団体は全国で128(1月31日現在)。これとは別に195団体が申請中(同月30日現在)で、設置の動きが広がっている。

 長崎大の平野裕子教授(保健医療社会学)は「アジアの高齢化問題に日本の介護技術が貢献できる可能性もある。ただ、外国人実習生の人権に対する配慮や実習生の帰国後の就労機会を構築するよう、長期的に考えることが必要」と指摘する。

 県労働局によると、農業分野など県内の実習生は16年10月末現在で2476人。年々増えている。外国人技能実習機構によると、介護職種以外の監理団体は県内に20。

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