金属行人(2月1日付)

 久しぶりに建設機械メーカーの工場を見学した。普段見ることの多い製鉄所と比べて、人の数が多いのにびっくりする。油圧ショベル工場内で製缶部門や組み立て部門を見たが、製缶での溶接作業の8割は自動化されているという。一方で、組み立て工程では、作業油を通す多くの配管を取り付ける作業に数多いスタッフが従事していた▼工場は「スマートファクトリー」を目指している。確かにきれいだし、明るい。以前見学した時よりも、女性の数が増えていると感じる。この工場では、ロボットの導入は溶接ロボットにとどまっており、近いうちに人間と一緒に組み立てを行う新型ロボットの導入に乗り出す計画がある。楽しみだ▼製鉄所でも同様だが、人手不足に対応し、また操業効率や安全性を高めるために、ビッグデータやAIを活用するのが日本製造業の大きなテーマになっている▼鉄と建機の関連でいえば、ショベルの部材で激しく地面とぶつかる部分には摩耗に強い特殊鋼などが使われている。軽過ぎてはいけないんだという。素材の性能が最終製品の特性を左右するという一例が、ここにも存在している。素材メーカーと需要家とのコラボレーションで高機能製品が作られている現場はとても魅力的だ。

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