【MLB】早々に残留決断の田中将大、“停滞”FA選手を気遣う「落ち着かないんじゃ…」

アメリカへの出国前の会見に臨んだヤンキース・田中将大【写真:編集部】

自身は昨季終了後に契約を破棄せず、メジャー5年目へ向けて渡米

 ヤンキースの田中将大投手は1日、羽田空港から日航機で渡米した。日本人メジャー投手初となる4年連続開幕投手へ向けて「そこは狙って調整したいです」と意欲を見せた右腕。今オフはFA市場の動きが歴史的な停滞ぶりを見せるなか、自身は昨季終了直後に契約を破棄できる「オプトアウト」の権利を行使せず、早々にヤンキース残留を決断したため、順調に調整が出来ている。一方で、未だ契約していない日本人選手もいるとあって、「落ち着かないんじゃないですか」と気遣う場面もあった。

 メジャー5年目のシーズンへ、ここまで調整は万全。「順調に自分のやりたかったことはできて、ここまで順調だと思います」。田中は穏やかな表情で話した。昨年はヤンキース移籍後初めてア・リーグ優勝決定シリーズに進出。世界一に輝いたアストロズに3勝4敗で敗れ、ワールドシリーズ進出はならなかったものの、チームとして確かな手応えを得た1年だった。レギュラーシーズンでは好不調の波が激しかった田中自身も、ポストシーズンでは圧巻の活躍で名門球団を牽引。渡米後、最も長いシーズンを経験したが、今季も先を見ることはなく、まずは地区優勝に全力を注ぐ。

「結局、そこ(ポストシーズン)は先のところなので。というよりは考えるのはレギュラーシーズンのことですかね。先のことは考えないですね。見えてこないし」

 まだ1度も到達していないシーズン200イニングの大台も目安の1つとなる。

FA選手を気遣う「どこになるか分からないし、家もそうだし…」

 昨季終了後、残り3年の契約を破棄してFAとなれる「オプトアウト」の権利を持ちながら、大方の予想とは違う残留という結論を出した。ヤンキースでの世界一という最大の目標があるなか、当時の声明では「決断は私にとって決して難しいものではありませんでした」と発表。ただ、その後、FA市場が歴史的な停滞を見せるという予想外の展開となり、早々に残留を決めた田中を「勝者」と称する米メディアもある。

 この日、本人は「僕が残るか残らないか、(契約を)破棄するか、しないかを決める段階で誰もこうなるとは思ってなかったし、分かってなかったと思う。そこに関しては、今になっては言われますけど、そんなことはもちろん考えていたわけではないし」と率直な胸の内を明かした。一方で、2月に入っても去就が決まってない選手のことを思うと、複雑な感情もある。

 右腕は「それは落ち着かないんじゃないですか? でも、僕はその立場ではないので何ともそれは。実際に、その立場に置かれた人にしか分からないところがあると思いますから。本当のところは分からないですから。でも、想像するにはキャンプ地がどこになるかも……そりゃ自分で決めれば、もちろん分かる話ですけど、どこになるか分からないし、家もそうだし、いろんな問題があるでしょうから。少し考えるだけでもね」と気遣った。

 もちろん、自分自身は落ち着いた調整をしながら、やるべきことをやっていく。「昨シーズン終わるぐらいから、来年はこうしたいな、というのはあった」とスプリングトレーニングを見据えた。世界一の有力候補に挙げられ、臨む新シーズン。頂点に立つために、田中の力は必要不可欠だ。

(Full-Count編集部)

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