パ・リーグ6球団がキャンプイン 1軍スタートの注目選手をピックアップ

春季キャンプに参加しているロッテ・安田尚憲【写真:細野能功】

日ハム清宮に西武・松井稼頭央…チームを変える新戦力たち

 2月1日、パ・リーグ6球団が一斉にキャンプイン。天候に恵まれなかったチームもあり、それぞれのペースで初日を終えた。今回は1軍キャンプに抜擢された新加入あるいは若手選手の中から、注目選手をピックアップしていきたい。

【北海道日本ハム】
 1軍の一次キャンプをアメリカ合衆国アリゾナ州で、二次キャンプを沖縄県名護市で行う北海道日本ハム。注目選手は、何と言ってもドラフト1位の清宮幸太郎選手だ。歴代最多の高校通算111本塁打を放ち、昨年のドラフトでは7球団競合の末、北海道日本ハム入団が決まった清宮選手。ルーキーの中で唯一、1軍キャンプメンバーに選ばれた。

 1月中旬の新人合同自主トレ中に「右手母指基節骨骨挫傷」と診断され、アメリカに向かうチャーター機の不具合に見舞われるなどしたが、キャンプへの参加に影響はない。新キャプテンの中田翔選手とは、一塁のポジションを争うライバルとなる。まだあどけない高校3年生だが、その身にかかる期待は大きい。

【楽天】
 楽天はルーキーの5選手が1軍スタート。中でも注目はドラフト1位の近藤弘樹投手と、負傷の藤田一也選手に代わって1軍キャンプに召集された西巻賢二選手だ。

 近藤投手は最速152キロの速球が持ち味で、多彩な変化球も持ち合わせる。憧れは元広島の黒田博樹氏だといい、キャンプ初日からブルペンに入った。18歳の西巻選手は、福島県出身、楽天ジュニア、仙台育英高校という正真正銘の「生え抜き」。思わぬ形で1軍に呼ばれることとなったが、自慢の守備を見せ付け、この好機を生かしたい。

【埼玉西武】
 埼玉西武の注目選手には、キャンプ初日からブルペン入りしたドラフト1位・3位コンビ、齊藤大将投手と伊藤翔投手、15年ぶりに古巣へ復帰した松井稼頭央選手を挙げたい。

 齊藤大投手は、明治大学の変則左腕。菊池雄星投手に次ぐ先発左腕の台頭が待ち望まれる中、即戦力として期待が高まる。伊藤投手は、高校卒業後、徳島インディゴソックスで輝かしい実績を残してNPB入り。2月生まれのため、まだ18歳ながら1軍メンバーに抜擢された。埼玉西武のドラフト3位の選手は、いずれも主力級に成長している歴史がある。年齢以上の経験を見せ付けて、「埼玉西武のドラフト3位」の価値をさらに高めていきたい。

 松井選手は、テクニカルコーチ兼任で15年ぶりに埼玉西武に復帰。キャンプ初日の練習後は「非常にいい1日を過ごせたと思います。栗山くん(栗山巧選手)や中村くん(中村剛也選手)が入りやすい環境を作ってくれているので、今日1日スムーズにできたと思っています」と、リラックスした表情で話した。

ロッテには待望の長距離砲、オリは社会人出身の即戦力コンビ

【千葉ロッテ】
 井口監督の下で巻き返しを狙う千葉ロッテは、1軍・2軍合同でキャンプを行う。注目選手は、ドラフト1位ルーキーの安田尚憲選手だ。

 安田選手は188センチ、96キロの恵まれた体格で、高校通算65本塁打を誇る長距離砲。北海道日本ハムの清宮選手と並び称され、即戦力との呼び声も高い。長年にわたり大砲不在のチームを救うため、キャンプから持ち前の長打力を発揮できるだろうか。

【オリックス】
 オリックスはルーキー4選手が1軍スタート。ドラフト1位の田嶋大樹投手、同2位のK-鈴木投手はもちろん注目すべき存在だろう。

 社会人ナンバーワン左腕と名高い田嶋投手は速球、一級品のスライダー、制球力で勝負するタイプ。キャンプ初日からブルペンでしなやかなフォームと迫力ある直球を披露した。前年のドラフト1位である山岡泰輔投手とともに、左右の両輪になることが期待されている。K-鈴木投手は、登録名の「K」が示す通り奪三振能力に優れた本格派だ。社会人出身のドラ1・2コンビがともに即戦力となれば、かつての投手王国復活も夢ではない。

【福岡ソフトバンク】
 連覇を狙う福岡ソフトバンクは、ルーキー全員がB組スタート。注目選手は高卒2年目でA組に入った九鬼隆平選手と、トレードによって楽天から加入した西田哲朗選手だ。

 九鬼選手は昨季、高卒ルーキーながら3月17日のファーム開幕戦にスタメン出場。最終的に、3軍で64試合に出場して打率.257ながら、チームトップの7本塁打、12盗塁を記録した。1軍の正捕手争いに旋風を巻き起こせるか、注目だ。

 西田選手は、パンチ力のある遊撃手として大きな期待をかけられ、2014年にポテンシャルを見せ付けながら、ここ数年は不本意なシーズンが続いていた。チームには、東京ヤクルトからトレードで加入し、チームの日本一に貢献した川島慶三選手などの「先輩」が在籍している。西田選手もトレードを良いきっかけとして、この例に続きたい。

 球春。この時期は野球界にとって、いわばお正月。3月末のシーズン開幕に向け、選手たちは少しずつ状態を上げていくのだろう。ぜひそれぞれに注目ポイントを見つけ、このわずかな時間を楽しんでほしい。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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