廃業した石田忠商店の商権、ヨシケンが譲り受け 小口・即納スタイルの商い踏襲

 各種鋼材加工販売業のヨシケン(本社・東京都板橋区小豆沢、社長・吉柴博氏)は、昨年12月20日に廃業した近隣の鋼材小売業である石田忠商店(板橋区清水町、社長・石田信一氏)の商権を譲り受けた。すでに引き継ぎ業務を終え、ヨシケンでは承継した顧客に対してこれまで石田忠商店が手掛けていた各種鋼材の小口・即納スタイルを踏襲している。

 石田忠商店は、60年余前に石田忠信氏(故人)が板橋の地で創業。一般鋼材類を扱い、地場の製作所や鉄工所といった中小モノづくり現場向けに各種鋼材の小売りとバンドソーによる細かい加工品販売に従事していた。

 往時は社員総数で5~6人を抱えていたが、直近では創業者の長男である信一社長とその弟(専務)および事務スタッフによる3~4人程度に縮小していた。

 2代にわたって小規模ながら堅実経営を続けてきたが、経営者の高齢化と後継者不在を理由に廃業を決定。昨年暮れに60年余の歴史に幕を下ろした。

 ヨシケンとは地元の同業仲間として不定期ではあったが小商いの取引関係にあり、廃業の際、双方を知る関係者の仲介を通して商権譲渡で大筋合意。客先1件1件を両社でまわり、基本的にはヨシケンが従来どおりの取引スタイルを踏襲する形で小ロットかつ細かい加工品の即納体制を継続している。

 商圏は板橋、豊島、北、足立といった都内の城北地区および埼玉の戸田、さいたま界隈。もともとヨシケンの販売エリアと被るが、客先の重複はなく、ヨシケンにとっては新規取引先が50~60社純増したことになる。

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