金属行人(2月5日付)

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が先日、フィリピンから政府関係者らを招き、投資促進セミナーを開いた。同国は日本にとってニッケルの最大輸入国。2016年のドゥテルテ大統領就任以降、政策変更が相次ぎ、同国の鉱業政策の方向性に対する業界関係者の関心は高い。セミナーにも定員を大幅に上回る参加申し込みがあったという▼特に環境保護主義者のロペス前環境天然資源大臣が実行した国内鉱山の操業監査では、半数近くの鉱山が操業停止に追い込まれた。新たな露天掘り鉱山禁止令も同国の鉱業を停滞させる一因だ▼こうした極端な政策は国内でも反発を招き、昨年5月にロペス氏は更迭。後任のシマツ大臣の下、露天掘り鉱山禁止の見直しなどを進めている。一方で懸念されるのが将来的に鉱石の輸出規制を模索する動きだ。同省幹部も「政府として徐々に鉱石の輸出を止める方向で検討している」とセミナーで明言していた▼14年のインドネシアによる未加工鉱石の輸出禁止措置を受け、日本企業はニッケル鉱石の調達先をフィリピンとニューカレドニアにシフトした。そのフィリピンで同様の政策がとられた場合、フェロニッケルの安定供給に黄色信号がともりかねない。

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