【新18年・分野別鋼材需要動向を探る】〈(6)エネルギー向け〉原油価格上昇、油井管は回復基調 ラインパイプ、小口案件主体

 18年のエネルギー分野は、石油輸出国機構(OPEC)の協調減産体制維持などが奏功して原油価格の上昇傾向が続く。メジャー・独立系石油会社(インディペンデント)の石油・ガス開発も増加傾向にあり、油井管(OCTG)の需要回復が鮮明になっている。

 原油価格は一昨年初に一時1バレル=30ドル台を割り込んだ(WTI先物取引)が、その後回復基調に転じ、足元60ドル台半ばまで上昇。天然ガス価格も直近、ほぼ1年ぶりに一時3ドル50セントをつけた。

 油井管の最大需要地である米国の稼働リグカウントは、一昨年5月に現行統計が始まった1968年以降過去最低の404基になった後、徐々に回復。足元、多少の増減はあるものの900基を超えるレベルで推移。直近、先週末時点では947基となっている。

 米国のシェール開発ではブレークイーブン(損益分岐点)が30~35ドルの鉱区もある。今後の油価動向によってはさらに米国内での開発が活況になる可能性も出てきた。

 一方、ラインパイプはビッグプロジェクト案件が少なく、今年も厳しい環境が続きそう。ただ、数万トンクラスの小口案件は出てきた。日本のメーカーと商社は新興国ミルとの差別化を図るかたちで、中東地域での耐サワー材案件などを捕捉していく。

 特殊管は石油精製分野、中国ボイラーメーカー向けの需要が回復。一方、国内で期待されていた火力発電所向けの案件は、足元思ったほど出ていない。今後は、再生可能エネルギー分野の開発動向などによって需要構造が変化しそうだ。(後藤 隆博)

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