【東邦インターナショナル 設立30周年】〈中崎博文社長に聞く〉日本品質〟の線材製品を輸出 加工機器輸入事業を拡大

 1月30日に設立30周年を迎えた線材製品・線材加工機器の貿易商社、東邦インターナショナル。同社のこれまでの歩みや現在の姿、今後に向けての展望を中崎博文社長に聞いた。(伊藤 健)

――創業からこれまでの歩みについて。

 「創業はバブル景気後期の1988年で、バブル崩壊後の『失われた20年』とともに当社は歩んできた。以前は鉄鋼商社で貿易を担当していたが、鉄鋼業界が低迷する中、線材の貿易事業が廃止となり、仕入れ先、取引先との商いを継続するために独立した」

東邦インターナショナル・中﨑社長

――線材加工機器の輸入事業については。

 「創業以前の85年プラザ合意以降、為替の円高が急速に進み、それまで貿易立国だった日本の産業構造が大きく変わった。日本では伸線機や測定器などの線材二次加工機械・機器メーカーの数も多く、品質、性能も世界レベルだったが、産業構造の変化に伴い、機械・機器メーカーの撤退や廃業が相次ぎ、国内の線材加工メーカーにとっては、設備調達や保守メンテナンスなどが困難となった」

 「一方、EUでは比較的経済が順調だったこともあり、線材業界とともにワイヤー加工機器メーカーらも発展を続けていた。その後、日本製の機械よりも性能が優れるものも出てくるようになり、最初はダイスやダイス加工機の輸入から始めた。当社が導入後の保守メンテナンスをサポートすることで少しずつ信頼を広げ、徐々に大きな機械、機器を輸入するようになった」

――東邦インターナショナルの特長、強みとは。

 「線材関連製品に特化している貿易商社であり、輸出業務では〝日本品質〟にこだわっている。海外のユーザーは、日本製の線材を日本で二次加工した〝オールジャパン〟製のワイヤー製品のニーズが高い。一方、輸入業務では欧州の機械・工具メーカーを中心に日本の品質力や技術力、精度や性能に劣らない機器を輸入し、当社が保守メンテナンスまでをサポートできる体制を構築している」

 「輸入業務拡大のために、海外展示会の視察ツアーやプライベート展示会の開催もしている。88年から世界最大のワイヤー展示会『ワイヤー・デュッセルドルフ』への視察ツアーを企画しており、今春で16回目となる。また国内で唯一となる線材加工機器展示会『ワイヤー東邦』も2003年から開催し、初回は出展10社、参加者70人だったが、徐々に認知度を高めて、昨年の第8回目は出展会社数が国内外46社、参加者は521人まで増えて大きな展示会となった」

――線材加工業界で最近のトレンドは。

 「環境への意識が高い欧州では、線材の表面のスケール落としに使う酸洗設備から、酸を使わない前処理設備『メカニカル・ディスケーラー』へ置き換わる動きが進んでいる。めっき処理でも省エネに対応した設備など、環境に配慮した機械が市場に出てきている」

――鉄鋼業界に期待することは。

 「日本品質の線材製品への期待、ニーズは国内外から依然として高い。今後も技術革新を進めて〝オールジャパン〟として日本のものづくりを支える線材を製造し続けることを期待したい。当社も日本品質のワイヤー製品の輸出、その日本品質を持続し発展させる加工機器の輸入を通じて、国内の線材製品業界を支援していきたい」

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