高炉3社の1~3月期輸出比率、新日鉄住金は底ばい42% JFEは47%へ上昇

 高炉大手の鋼材輸出比率(金額ベース)が各社各様の対照的な動きを見せている。新日鉄住金は四半期ベースで発足後の最低水準が続く一方、JFEスチールは昨年4~6月期を境に上昇傾向にある。国内需要が堅調なため、各社とも輸出向けの成約は抑え気味だが、設備改修や生産トラブルなどによる制約度合いの差が輸出比率へ反映されているようだ。

 鋼材輸出の主力品種である熱延コイルは3月積み商談までおおむね終了し、まだ決着していない一部の近海向けを除きトン当たりCFR600ドルを超えつつある。遠隔地向けは中国ミルが商談に消極的なこともあり、640~650ドル程度とさらに高値が通る状況だ。

 為替は米国の利上げを警戒し一時は円高へ振れる気配があったものの、足元では1ドル=110円程度で、輸出方針を左右するほどの変化はない。

 こうした中、新日鉄住金の輸出比率は昨年7~9月期、10~12月期と2四半連続で発足後の最低となる41%に。今年1~3月期の見通しも42%と小幅な上昇にとどまる。

 新日鉄住金は遠隔地向けのホット輸出を早々に600ドル台半ばへと引き上げ、強気の姿勢で値上げを進めてきた。しかし昨秋から台風の影響で大分製鉄所の高炉が不調に陥り、この2月も大分の熱延ミル定修を控えるなど減産に伴う輸出減の影響が値上げ効果を打ち消している。

 JFEの輸出比率は昨年4~6月期に09年以来となる42%台の低い水準を記録して以降、徐々に上昇傾向にある。昨秋に発生した東日本製鉄所京浜地区のトラブルも解消し、当面は定修の予定もない。昨年10~12月期は45・1%と、16年以降では初めて45%台に達した。1~3月期は47%へとさらに高まる見込みだ。

 神戸製鋼所は16年1~3月期以降、輸出比率が低下してきたが、昨年10~12月期は29・3%と7四半期ぶりに上昇した。データ改ざん問題の余波で国内向けを一時的に出荷調整したためと見られ、1~3月期は28%へと再び低下を見込んでいる。

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