金属行人(2月7日付)

 新年会や賀詞交換会も終わり2月となったが、今年は例年以上に明るい顔が目立ったように思う。中国経済は依然堅調で鋼材内需も旺盛。しばらく海外相場は大きく崩れそうにない。また、国内も東京五輪向け需要がピークを迎える。鉄鋼メーカーはほとんどがフル生産で、国内需給にはタイト感が続きそうだ▼しかし、中国の鋼材相場はジリ安で調整局面。鉄スクラップ安も気になる。また、さらなる値上げを模索する鉄鋼メーカーと、なかなか価格転嫁が進まない流通との間で、温度差が少しずつだが広がってもいる。市中では「これ以上値上がりするのかどうか」と、相場の行方に対する懸念も生じ始めている。さらには株価の急落で、日本経済全体の先行きにも不安が募る。リーマンショックがそうだったように、将来は誰にも見通せない。決して萎縮する必要もないのだろうが、危機意識も欠かせない▼鉄鋼業は装置産業であるが故に計画から実行までにどうしても時間がかかる。投資を決めてから設備が立ち上がるまでに何年もかかってしまう。小さな変化を見逃さないようにしつつも、大局観も必要になる。目の前の変化は一過性なのだろうか。それとも潮目が変わったのだろうか。

© 株式会社鉄鋼新聞社