理化学研究所など3者、鋼材高性能化のカギ握る鋼組織「オーステナイト」測定容易に

理研、小型の中性子装置活用

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 理化学研究所など3者は、鉄鋼材料の高性能化のカギとなる鋼組織中の「オーステナイト組織」の割合を小型の中性子源装置でも高精度測定することに成功したと発表した。これまでは大型の同装置でしか測定できなかった。大型装置と同様の結果をより容易に収集できるようになる。今回の成果を鉄鋼メーカーが応用すれば、自動車用高張力鋼板(ハイテン)など高性能鋼の開発期間短縮などにつながると期待される。

 理研と日本原子力研究開発機構、東京都市大学の共同研究グループの成果。理研が保有する小型中性子源システム「RANS(ランズ)」を利用し、オーステナイトを含む2相の複相鋼をサンプルに用いて、鋼組織中のオーステナイトの割合を示す「相分率」を測定した。大型実験施設での測定結果との差は1%以内だったという。

 大竹淑恵チームリーダーは今回の成果について「鉄鋼の材料開発や生産現場での中性子利用に弾みがつくのではないか」と話している。

 オーステナイトの相分率測定には、鋼材に対し透過性の高い中性子を用いる「中性子回折法」が有効。ただ、これまでは中性子源が研究用原子炉などの大型実験施設に限られ、小型装置では正確な測定が難しかった。

 同研究の一部は日本鉄鋼協会の研究会「小型中性子源による鉄鋼組織解析法」として行われた。今回の成果は5日に公開された同協会の学術論文誌「鉄と鋼」オンライン版、3月1日発行の同・冊子版に掲載される。