私立高無償化、年収590万円未満の世帯を対象に 神奈川県、支援策拡大へ

 県は4月から、私立高校の就学支援策を拡大し、年収約590万円未満の世帯を対象に授業料の実質無償化に踏み切る。2020年度からの実施を打ち出している国に先駆けた取り組みで、18年度当初予算案に総額46億9410万円を計上。黒岩祐治知事は「国が出口を決めてくれたことで、今回一つの目玉として踏み込んで立案した」と述べた。

 年収約250万円以上350万円未満の世帯で年間17万400円、同じく350万円以上590万円未満の世帯で同13万3800円だった私立高校に通う生徒の学費補助金を、それぞれ2万4千円、12万円を上乗せする。

 国は就学支援金としてそれぞれ23万7600円、17万8200円を支給しており、合算で県内の私立高の平均授業料に相当する43万2千円とする。現行で無償化されている生活保護世帯、住民税所得割非課税世帯を含め、年収約590万円未満の世帯では授業料の実質負担はゼロとなる。

 対象は県内在住で、県内の私立学校に在学の生徒。高校のほか、中等教育学校の後期課程、専修学校の高等課程も含まれる。県私学振興課によると、県内の私学に通う生徒は約7万人。うち、今回該当するのは約1万4千人で、生活保護世帯などを含めると4分の1近い生徒の授業料が無償となる。18年度の申請は4月から受け付ける。

 高校無償化を巡っては、14年度の入学生から公立高に通う年収約910万円未満の世帯で授業料が無料となったが、私立高は国が所得に応じて11万8800〜29万7千円の支援金を支給し、負担を軽減してきた。

 県は年収約750万円未満の世帯に私立高の入学金として一律10万円を支給しているほか、年収約590万円以上790万円未満の世帯には学費として7万4400円の補助を行っている。

 今回の補助枠拡大は19年度まで。20年度からは国が就学支援金を加算する形で年収約590万円未満の世帯で実質無償化を行うとしている。黒岩知事は「国が決めたことで、われわれにとってみればゴールが見えた。前からやりたいと思いながら財政が非常に厳しく踏み出せなかった」と振り返った。

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