【MLB】胸の思いを優先―田中将大が明かしたヤ軍残留の理由、NYメディアを“魅了”!?

ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

「正しい選択を下したのは誰が見ても明らか」、残留を決断した理由も話題に

 昨季終了後、契約を破棄してFAとなれる「オプトアウト」を行使しなかった田中将大投手が、地元メディアにヤンキース残留の理由を語っている。日本では「ヤンキースは特別なチーム」などと名門球団への“愛”について語ることもあったが、米メディアには「自分の気持ちに従った」と語ったことが話題となっている。

 好不調の波が激しかった昨季、レギュラーシーズン終盤に本来の姿を取り戻すと、ポストシーズンでは圧巻の投球を披露。チームをリーグ優勝決定シリーズに導いた。2014年に7年総額1億5500万ドル(約170億円)の大型契約でヤンキースに加入した右腕だが、4年目終了時点で「オプトアウト」できる権利が盛り込まれており、さらにいい条件を求めてFAを選ぶ可能性が高いというのが大方の米メディアの予想だった。

 しかし、ヤンキースでの世界一を最大の目標に掲げる田中は残留を決断。声明文ではヤンキースでプレーできる喜びを明かしつつ「ヤンキースに残るという決断は私にとって決して難しいものではありませんでした」と綴っていた。そして、2月1日に羽田空港から渡米した田中は、7日(日本時間8日)にキャンプ地もあるフロリダ州タンパのマイナー施設で自主トレを行い、残留決断後初めて対面したニューヨークメディアの取材に応じたという。

 地元紙「ニューズデイ」によると、右腕は通訳を介して「自分の胸の中に秘める思いを優先しました。可能性は確かにありましたが、自分にとって大事なのは自分の気持ちに対して素直になることなので、そうすることにしました」と話している。今オフはFA市場の動きが史上稀に見るスローペースで、MLB側と代理人、選手会が“舌戦”を繰り広げるなど、泥沼化の様相を呈している。

地元紙も次々とレポート「タナカは自身の気持ちに身をゆだねた」

 それだけに、同紙は「FAの契約に関する今オフのゆっくりしたペース、そして最近MLBとMLB選手会の中で巻き起こった激しい言い争いを考慮すると、タナカが正しい選択を下したのは、誰が見ても明らかだ」と指摘。当然、シーズン後半戦以降のような投球を望む声が多いが、「今シーズンに賭ける中、タナカは2017年の後半(のパフォーマンス)を足がかりにすることを望んでいるとコメントした」とも伝えている。

 田中は取材の中で、昨季、被本塁打数が激増した原因を「把握」していることや、メジャー挑戦に踏み切る大谷翔平投手(エンゼルス)との対戦を心待ちにしていることにも言及。新監督のアーロン・ブーン氏のもとでプレーすることは何も心配していないとも明かしたという。

 米国では、田中が自分の気持に従ってヤンキース残留を決めたという発言が話題に。「ニューズデイ」は「オプトアウトを回避し、マサヒロ・タナカは自分の気持ちに素直になった」とのタイトルをつけているが、ESPNも「マサヒロ・タナカはヤンキースに残留することに対して、自身の気持ちに身をゆだねた」との見出しでレポート。地元紙も次々と伝えており、その「ヤンキース愛」はNYメディアを“魅了”しているようだ。

 とにかくヤンキースで世界一に――。強い気持ちで望む新シーズン、NYのメディア、ファンからエース右腕は熱烈な支持を受けることになりそうだ。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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