東洋製罐GHDが完全子会社化へTOB実施 東洋鋼鈑の隅田社長「世界戦略投資で優位性」

 東洋製罐グループホールディングスは47・5%の株式を保有する連結子会社、東洋鋼鈑に対し、株式公開買い付け(TOB)で完全子会社化を目指す。8日に東京都内で開催した決算説明会で東洋鋼鈑の隅田博彦社長は、今後拡大する世界戦略への事業投資や新たな技術・製品の開発に必要な資金調達に対する優位性を強調した。

 東洋製罐GHDは2013年に持ち株会社制へ移行し、東洋鋼鈑との親子上場が続いていた。一方、東洋鋼鈑ではトルコで昨年5月から全面操業する表面処理鋼板の合弁工場が昨年末までに月4万トン台の安定生産に入り、「今年は年産60万トンを目標に掲げ、周辺地域の市場開拓を進める」(隅田社長)次の段階にシフト。一昨年に買収した車金型大手、富士テクニカ宮津も近く収益改善が見込まれる中、昨年9月に東洋製罐GHDからTOBの提案を受けた。

 東洋製罐GHDが持ち株会社制となった後は、両社で集中購買を一部実施しており、TOBの成立で「価格競争力や鋼材をはじめとする材料調達の交渉力が上がる」(同)。東洋製罐GHDが東洋鋼鈑の全株式を取得すれば、東洋鋼鈑は1952年以来筆頭株主だった東洋製罐GHDの完全子会社となり、東京証券取引所で49年から続く上場を廃止する。

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