金属行人(2月13日付)

 特殊鋼・ステンレス流通の切断倉庫を訪ねて、〝鋼材切断〟よりも〝部品加工〟という表現がふさわしいと思うときがある。棒鋼を精密切断して両端面をバリ取りし重量選別も全数で行ったり、鋼管を切断して両端面をバリ取りし洗浄した上に異材混入防止でPMI(合金成分分析)検査も行うなど、鋼材流通加工業のレベルの高さを目の当たりにした気になる▼「切断品は機械加工品の一部であり、鋼材は部品感覚で納入する」「このサービスが当社の基準であり、サービスの質を低下させることは考えていない」など、当の経営者が淡々と語る言葉には確固たる信念を感じる。品質管理だけでなく「いかに機械を止めずに、かつスピードを上げるか」といった工場管理も部品感覚に近いと感じるときがある▼ステンレスの継目無鋼管、溶接鋼管で流通大手がメーカー値上げの転嫁に本腰を入れるとともに、多くが溶接鋼管の切断賃引き上げにも取り組んでいる。流通加工業にとって物流・加工コストの上昇は頭が痛い。特殊鋼流通でも「小口即納サービスに関わるコスト上昇について顧客の理解を得ることも流通加工業の役目」といった声が聞かれる▼サービスに対する評価が正当なものに近づくよう期待したい。

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