ガソリン高値続く 長崎県内、家庭、農水を直撃

 原油高に伴い、長崎県内でもガソリン価格が約2年にわたり上昇傾向が続き、石油製品の価格が高騰している。家庭や農水産業にとって厳しい冬となっている。

 経済産業省資源エネルギー庁によると、県内のレギュラーガソリン1リットル当たり平均小売価格は、2016年3月の120円50銭から上昇傾向に歯止めがかからず、今月5日時点で152円40銭(全国平均144円90銭)となった。

 本県は離島が多く物流コストがかかるため全国平均より高く、離島はさらに県平均より10~20円程度高い。県石油協同組合の1月中~下旬の調査では対馬市で177円の店舗もあった。

 「休日は車で遠出せず家で過ごすことが増えた」。7日、長崎市のガソリンスタンドで給油した諫早市飯盛町の造園工、福島信行さん(46)は話した。普段からできるだけ安いスタンドを探しているという。

 キングタクシー(長崎市)は燃料が液化石油ガス(LPG)とガソリンの車を各二十数台ずつ保有しているが、現在はガソリン車の使用を極力抑え、経費削減を図っているという。

 漁船やハウス栽培暖房などに使われる重油の価格も上昇している。対馬市によると、イカ釣り漁などに使う重油の島内価格は昨年冬が1リットル70円台だったが、この冬は80円を超えた。

 同市豊玉町のイカ釣り漁船船長、築城哲則さん(67)は「集魚灯を使うので燃油代だけで1晩8万円を超えることがあり、採算がとれない」と嘆く。スルメイカの不漁と重油高で1月から休漁を増やしたという。

 諫早市森山町でイチゴをハウス栽培している川口誠さん(65)も「この冬は寒い日が多く、暖房機の稼働時間も増えた。経費はかかるが、価格転嫁もできない。寒さが和らぐのを祈るしかない」と語った。

1リットル当たりの価格を示すガソリンスタンドの看板=長崎市内

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