練習場所のパチンコ店跡「聖地」 「WANIMA」のルーツは天草

©株式会社熊本日日新聞社

地元の住民たちが作成した、WANIMAの紅白出場を祝う横断幕。今は取り外されている=天草市倉岳町
WANIMAの2人がバンド練習をしていたというパチンコ店跡=天草市倉岳町
高校時代に出演していたライブイベント「ロックンロール・ハイスクール」などに宛てたWANIMAのメッセージ=熊本市中央区

 大みそかのNHK紅白歌合戦に熊本出身の3人組ロックバンド「WANIMA(ワニマ)」が出場しますね。そのうち松本健太さんと西田光真さんは天草市倉岳町出身でうちの近所。私も小さい頃から知っています。中学生の頃から一生懸命やっていたみたいで、集落では紅白出場を祝う横断幕を作って、とても盛り上がっています。もう1人の藤原弘樹さんも熊本市出身ですよね。(天草市、農業・男、70)=2017年12月27日掲載

 最近、街やCMなどで楽曲を耳にする機会が増えた「WANIMA」。こちら編集局には昨年末の紅白歌合戦初出場を喜ぶ電話が複数届いた。KENTA(ケンタ)こと松本健太さん(29)とKO-SHIN(コーシン)こと西田光真さん(28)の出身地、天草市倉岳町が今盛り上がっているという。彼らの代表曲「ともに」を聞きながら、倉岳町へ車を走らせた。

 まず訪ねたのは、2人が当時、練習を重ねていたというパチンコ店跡。今も建物は残り、ファンの“聖地”となっているとか。「スマホで写真を撮っている若い子をよく見かけます」と地元の新聞販売センター店主。すっかり古びた建物だが、何かしらオーラが漂うような…。

 2人はこの町で高校までを過ごし、一緒にバンド活動をした。同町で農業を営む男性(70)は「子どもの頃から知っている。一生懸命楽器の練習ばしよった」と振り返る。

 天草宝島観光協会によると、WANIMAのルーツを巡りたいという問い合わせが増えているという。同町にはミュージックビデオのロケ地となった海岸などもあり、メンバーと同じポーズで「インスタ映え」を狙うファンも。地元の地区振興会は、紅白出場を記念し、似顔絵を描いた横断幕も掲げた。

 天草市は昨年11月、WANIMAに「天草宝島親善大使」を委嘱したが、これも市民からの盛り上がり。地元で音楽活動をする武内隆昌さん(37)ら有志が署名活動をして、1カ月間で1万3709人分を集めた。

 親善大使として、これまでに同市の成人式などにメッセージ動画を寄せてくれたが、武内さんは「天草でライブをやって、地元を盛り上げてほしい」と熱く語る。

 “聖地”は熊本市内にもある。中央区水前寺にある楽器店「ビートニック80」が25年近く続けている高校生バンドのライブイベント「ロックンロール・ハイスクール」に2人は出演していた。同イベントの責任者を務める吉津裕貴さん(30)は、別のバンドで2人と同じ舞台に立っていた。「高い音楽性はもちろん、彼らは人間的にも愛され、どことなくほかのバンドと違っていた」

 もう一人のメンバー、FUJI(フジ)こと藤原弘樹さん(31)は熊本市出身だが、2人は上京後に知り合う。同世代には「BLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント)」や「KEYTALK(キートーク)」といった熊本出身のメンバーを含む若手ロックバンドが次々台頭している。

 吉津さんは「高校生バンドは減少傾向にあるが、WANIMAがブレイクしたことで、間違いなく励みになった。地方というハンデに引け目を感じず、プライドを持ってやってきたことが評価につながったのだろう。追い風にして熊本のアマチュアバンドを盛り上げたい」と話す。

(2018年2月10日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

あなたにおすすめ