NPB牽引するジャイアンツ&ホークス徹底比較、両名門が残す驚異の足跡

日本野球史において偉大な功績を残した王貞治氏【写真:Getty Images】

王、長嶋、野村ら日本を代表する名選手がズラリ

 2月10日に行われた読売巨人軍宮崎キャンプ60年記念「ジャイアンツvsホークスOB戦」は、雨で開催が遅れたが、多くの観客が詰めかけ、盛り上がった。ジャイアンツとホークスは、野球界の名門であり、偉大な野球人を多く輩出してきた。両軍を比較してみよう。

〇通算成績

ジャイアンツ
84シーズン10329試合5855勝4156敗318分 勝率.585
リーグ優勝45回日本一22回

ホークス
79シーズン10183試合5178勝4640敗365分 勝率.527
リーグ優勝20回日本一8回

 シーズンには1リーグ時代の2シーズン制も含む。ジャイアンツは1935年創設のプロ野球最古の球団。ホークスは1938年秋シーズンからペナントレースに参加。
ジャイアンツは勝利数、勝率、リーグ優勝、日本一回数ともに1位。ホークスは勝利数3位、勝率は3位、優勝回数も3位。パリーグではライオンズと並ぶ強豪だ。

〇対戦成績
公式戦
1リーグ時代(1938-1949)
ジャイアンツ 95勝 ホークス51勝 2分
交流戦以後(2005-2017)
ジャイアンツ 20勝 ホークス33勝 0分
日本シリーズ
ジャイアンツ 36勝 ホークス20勝 1分

 1リーグ時代のジャイアンツは圧倒的な存在であり、ホークスに大きく勝ち越していた。2リーグ分立後は、公式戦での対戦はなかったが、交流戦以後は反対にホークスがジャイアンツを上回っている。日本シリーズでは10回対戦しているが、ジャイアンツが9回優勝、ホークスは1959年の1回だけ。ソフトバンクになってから、ジャイアンツとの対戦はまだ実現していない。

〇1000勝監督(該当球団のみ)
ジャイアンツ
川上哲治1066勝 長嶋茂雄1034勝
ホークス
鶴岡一人1687勝

 鶴岡一人勝利数はNPB歴代1位。他球団も含めればジャイアンツには、三原脩(1687勝)、藤本定義(1657勝)、水原茂(1585勝)、ホークスには野村克也(1565勝)がいる。また両チームで采配を執った王貞治(1315勝)も1000勝監督だ。

王貞治は打撃3部門を独占、さらに史上最多9回のMVPを獲得

〇MVP
ジャイアンツ
王貞治9回、長嶋茂雄5回、川上哲治3回、松井秀喜3回、ヴィクトル・スタルヒン(須田博)2回、別所毅彦2回、藤田元司2回、アレックス・ラミレス2回、沢村栄治、中島治康、水原茂、呉昌征、大友工、与那嶺要、堀内恒夫、江川卓、原辰徳、山倉和博、ウォーレン・クロマティ、斎藤雅樹、桑田真澄、小笠原道大、阿部慎之助、菅野智之ら。

ホークス
野村克也5回、山本一人(鶴岡)3回、松中信彦2回、柚木進、岡本伊三美、飯田徳治、杉浦忠、ジョー・スタンカ、門田博光、工藤公康、城島健司、杉内俊哉、和田毅、内川聖一、柳田悠岐、デニス・サファテら。

 球界屈指の名門球団だけに錚々たる顔ぶれが最高の栄誉を受賞している。この顔ぶれを見るだけで、83年目を迎えるプロ野球の歴史が目に浮かんでくるようだ。

〇3冠王
ジャイアンツ
王貞治2回、中島治康1回
ホークス
野村克也1回、松中信彦1回

 3冠王は11回記録されているが、1球団で複数の選手が記録したのはジャイアンツとホークスだけ。この2球団で半数の5回を記録している。

〇打撃通算1位
安打数
ジャイアンツ 王貞治2786安打 ホークス 野村克也2813安打
本塁打数
ジャイアンツ 王貞治868本塁打 ホークス 野村克也645本塁打
打点数
ジャイアンツ 王貞治2170打点 ホークス 野村克也1940打点
盗塁数
ジャイアンツ 柴田勲579盗塁 ホークス 広瀬叔功 596盗塁

 安打数、本塁打数、打点数は、NPB史上でも屈指のレコードホルダーである王と野村が独占している。球史に残る両雄だ。盗塁数は柴田はセ・リーグ1位、NPB3位、広瀬は福本豊に次ぐNPB2位だ。

〇投手通算1位
勝利数
ジャイアンツ 別所毅彦221勝 ホークス 皆川睦雄 221勝
奪三振数
ジャイアンツ 槇原寛己2111個 ホークス 杉浦忠 1756個 
セーブ数
ジャイアンツ 角三男、クルーン93セーブ ホークス 馬原孝浩 180セーブ

 偶然にも両軍の最多勝は同じ221勝。実は別所は戦前から南海(ホークス)の大エースだった。1948年、別所はジャイアンツに移籍、しかし南海はこれを承認しなかったため「別所引き抜き事件」という大事件に発展した。ジャイアンツには沢村栄治、スタルヒン、堀内恒夫、江川卓、桑田真澄と優秀な先発投手がたくさん出たが、セーブを稼ぐクローザーは出なかった。ホークスは、杉浦忠、斉藤和巳など先発投手もいたが、最近は馬原、ペドラザ、サファテと優秀なクローザーも輩出している。このあたりがチームカラーの違いだ。

 ジャイアンツ、ホークス両チームで活躍した選手には、前述の別所毅彦(南海時代は別所昭)以外にも山内新一、大道典良、現役の杉内俊哉、2月10日のOB戦で登場した工藤公康、小久保裕紀などがいる。そして何より、巨人最高の打者、王貞治は今、ソフトバンクの会長だ。リーグは違うが、両チームは、NPBを牽引する名門チームとして、切磋琢磨しているのだ。

(Full-Count編集部)

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