松坂の復活切望、“好敵手”松中氏が語る「バッター目線」の懸念点とは

度重なる好勝負を松坂と演じてきた平成唯一の3冠王・松中信彦氏【写真:福谷佑介】

中日入りの松坂は昨年より「良くなっている」も…松中氏が見る懸念点

 復活を目指し、沖縄でキャンプに取り組んでいる中日の松坂大輔投手。3年間在籍したソフトバンクでは右肩の故障に苦しみ1軍登板わずか1試合に終わって退団となったが、テスト入団の末に加わった新天地では今のところ右肩の状態も良好なよう。慎重にではあるが、調整を進めていっている。

 その松坂大輔と幾多の好勝負を演じてきた1人が、元ソフトバンクで、平成唯一の3冠王である松中信彦氏。「現役時代にいい勝負をした自分としては、やっぱり頑張って欲しいと思っています」。平成の名勝負として、伝説として語り継がれる対戦をしてきた松中氏もまた、松坂の復活を願っている。

 中日は2月1日から沖縄・北谷町でキャンプを行い、松坂は10日までに4度、ブルペンに入って投球練習を行っている。この投球練習を映像で見た松中氏は「去年よりはちょっと良くなっていると思った」と言う一方で「気になる」というポイントを指摘した。

 それは、松坂が投球フォームを開始し、左足を上げて軸足で立つところに現れるという。「僕はバッター目線だけど、胸のロゴと顔の動きが一体化していて、捻れる動作があまりないように見える。僕も現役の最後のほうがそうだったんだけど、体を捻らないとパワーが出ない。大輔を見ると、体を捻じろうとすると顔も一緒に向いてしまっている」と指摘した。体を捻る際に、顔も同じ方向に向いてしまっており、体をうまく捻れていないというのだ。

和田を例に挙げる松中氏、「毅が何で打たれないかと言うと…」

「バッターで言うと、ピッチャーを見ないと打てないわけでしょう。見えないと、早くピッチャーの方を向こうとする。そうすると打者も体の開きが早くなるんですよね。ピッチャーなら、早くキャッチャーの方を向こうとするようになる。

 そうなると、どうしても体の開きが早くなって、打者からボールの出所も見やすくなるし、体が横振りになる一因にもなる。動きがバラバラとなり、ボールが暴れてしまう。僕が大輔と対戦していた頃は、その捻れが出来ていた。

 体と顔が一緒に入ってしまっているから安定しないのかな、と。去年よりはだいぶ改善はされているかなとは思うけど、まだ見れていない部分があるのかな、と。そこだけが心配ですね」

 こう指摘した松中氏。“松坂世代”の1人で、ソフトバンク時代にチームメートだった和田毅投手を例に挙げ、「毅が何で打たれないかって言うと投げる直前まで体はずっと横に向いているのに、顔はキャッチャーをずっと向いている。しっかり体の捻りがあるし、体が横振りになっていない」とも。

 数々の名勝負を繰り広げた好敵手の懸念は、杞憂のままに終わるだろうか。

(Full-Count編集部)

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