元寇遺跡PR 初の水中考古学セミナー 終焉の地、松浦・鷹島

 松浦市立水中考古学研究センター(長崎県)は10~12日、元寇(げんこう)の終焉(しゅうえん)の地である同市鷹島町で水中考古学公開セミナーを初めて開いた。参加した学識者や学生ら約20人に対し、専門家の講演などを通じて元寇にまつわる遺跡の歴史的意義についてPRした。

 鷹島町沖合では元寇船のほか多くの遺物が見つかっており、周辺海域は「鷹島神崎(こうざき)遺跡」として、海底遺産では日本初の国史跡に指定されている。同市は鷹島町を水中考古学の拠点にするため同分野に特化した自治体初の研究機関として同センターを昨年開所。セミナーは遺跡のPRを含め、拠点化の取り組みの一環として開催した。

 初日の10日は、市文化財課の内野義(ただし)課長が講演。水中考古学に関し「常時、水面下にある遺跡・遺物を主たる対象とする」との定義を示し、遺跡が水中にあることから調査は時間的制約があり、費用が高額となることを説明した。遺跡の活用法として頭に装着する「ヘッドマウントディスプレー(HMD)」で映像を楽しむコンテンツでPRしていることなどを紹介した。

 11日は鷹島沖での調査を主導する琉球大の池田榮史(よしふみ)教授らが講演。12日は参加者が意見交換した。

鷹島町沖での海底遺跡調査とその実績について解説する内野課長(右)=松浦市立鷹島公民館

© 株式会社長崎新聞社