J1元年 Ⅴ長崎 キャンプリポート 最も早く、入念に準備

 サッカーJ1のV・ファーレン長崎が年明けから実施していたキャンプは8日、全日程を終了した。1月13~27日の沖縄では体力づくり、今月1~8日の鹿児島は主に戦術面に重点を置いたメニューだった。2013年のJ参入後で最も早くキャンプインし、入念に準備を重ねた計23日間。初めて臨む国内最高峰リーグを前に、どのような狙いで取り組んだのか。成果や課題を探った。

◎沖縄 走り中心に持久力磨く

 15日間の日程で行われた沖縄キャンプ。昨季、J1昇格の原動力となったハードワークの土台となる体力面の強化をトレーニングの中心に据え、徐々に戦術練習を加えていった。

 特に前半の1週間は持久力を徹底的に鍛えた。1000メートルのインターバル走、約1・5キロのクロスカントリーといった厳しい練習が続き、ゲーム時よりも高い負荷がかかった。それでも選手たちは「きつくても、これがシーズンを戦う上で大事になってくる」と口々に語り、黙々と取り組んだ。

 個々の体力に応じて目標タイムを設定。専用の機器を使って心拍数をリアルタイムで計測し、自らを追い込んだ。クロスカントリーは坂道や階段がコースに含まれ、天候などによって路面状況も変わる。選手たちは実戦をイメージしながら、ペース配分の感覚や瞬時の判断力を養った。

 吉満フィジカルコーチは「J1ではボールを奪いにいって疲弊し、やられるケースがあると思う。取りに行った後に、さらにそこから頑張れるような持久力と筋力を鍛えた。みんなよくやっている」と手応えを得た様子だ。

◎鹿児島 戦術共有 新戦力も個性

 8日間の鹿児島キャンプは戦術の共有が中心だった。J1経験者やルーキー、外国人ら12人の新顔を迎えた今季。J1、J2チームとの計3回にわたる練習試合を通じてピッチ上でコミュニケーションを取った。高木監督は「戦術を理解できている人もいるが、もっと全体に浸透させていく必要がある」と課題を挙げた。

 高い位置でのプレス、ボールを奪った後の素早いカウンター、組織的な守備-。J1昇格に貢献した昨季の主力組が多く残り、V長崎の持ち味は攻守ともに健在だ。これに、新戦力のパワーや経験、若さをどう融合させていくのか。主将のDF高杉は「長年監督と一緒にやってきた選手が、新しい選手にこれまでのチームの戦術を伝えている」と手応えを口にした。

 J1の清水、磐田戦ではハードワークをベースに連動した守備が機能。日本代表のFW川又(磐田)ら能力の高い選手にも組織で対応して隙を与えなかった。磐田の名波監督は「非常にオートマチックで組織的。緻密な、いいサッカーをしている」と警戒した。

 攻撃面でも高木監督は「テンポ良くボールを動かせた」と一定評価。磐田戦ではMFハロラン、米田、FW鈴木ら加入組が個性を生かしてゴールを決めた。

 開幕戦は24日。高木監督は「今までやってきたことを振り返りながら、守備、攻撃の正確性を高めていきたい」と気を引き締める。

クロスカントリーコースで、持久力や判断力を磨く選手たち=沖縄県西原町、西原運動公園
鹿児島キャンプ最後の練習試合。DF高杉(右)とMF翁長(左)が磐田のFW川又を挟み込む=鹿児島市、県立鴨池補助競技場

© 株式会社長崎新聞社