近代製鉄発祥160周年記念、釜石でフォーラム「鉄とともに」 猪瀬元所長らが記念対談

 近代製鉄発祥160周年記念フォーラム「鉄とともに」(釜石市など主催、日本鉄鋼連盟後援)が10日、岩手県釜石市の市民ホールで開かれた。

 同フォーラムでは加藤康子・内閣官房参与や佐藤摩利子・国連人口基金東京事務所長、新日本製鉄で東北支店長や釜石製鉄所長を務めた猪瀬迪夫・釜石応援ふるさと大使の3氏を招き「鉄のまち釜石から世界へ」をテーマに記念対談が行われた。

 加藤氏は橋野鉄鉱山が「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界遺産へ登録されたことについて「世界遺産は人類共通の価値。(近代製鉄発祥の地である)釜石なくして登録はなかった」と説明。猪瀬氏は「釜石には大島高任以来の不撓不屈の精神を持った人材、工業用水として適した水、東北随一の港の三つがある。これがある限り堂々と世界で戦っていける」と述べた。

 対談を受け野田武則市長は「近代製鉄150周年を機に橋野鉄鉱山がクローズアップされ、駅前のモニュメントには高炉の火が分灯された。釜石製鉄所では壁を外し木が植えられたことで開かれた存在になっている」と総括。次の10年に向け「鉄の歴史を学術面だけでなく、ものづくりの精神として受け継いでいく」と語った。

 対談後はテツandトモによるライブや、「釜石鉄の検定」で優秀な成績を収めた白山小学校の生徒6人による「鉄のふるさと宣言」が暗唱された。

 フォーラムには新日鉄住金の米田寛・釜石製鉄所長も来賓として出席した。

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