産総研、はんだ部品実装で新技術 基板の熱ダメージ抑制

 産業技術総合研究所は低耐熱性電子基板のダメージを抑えながら、はんだで部品を実装する新技術を開発したと発表した。従来のはんだ加熱方式は長時間の加熱が必要で基板がひずむことが課題だった。

 今回開発したのはマイクロ波を用いる加熱方式。面状に磁界を集中させるマイクロ波照射技術と、はんだ接合部を選択加熱する技術を確立。3秒以内にはんだを溶融させ実装時の基板のひずみを20分の1に抑えた。布など伸縮性のある素材に電子部品を載せる技術として、身に着けて使用するウエアラブルデバイスなどでの適用を期待している。

 はんだによる従来の電子部品実装は接着の強さや電気特性の信頼性などが強みだが低温・短時間の接着でも170度以上、約300秒の加熱プロセスが必要。耐熱性の低い材料を基板として使用できなかった。柔軟性や伸縮性を備えた電子機器を普及させるため、低耐熱性基板への熱の影響を最小限に抑えるはんだ実装が求められていた。

 産総研ではマイクロ波による選択加熱性や短時間加熱性を利用。極めて短時間ではんだを溶融する実装プロセス技術を開発した。今後はセンサーに加えICチップなど、さまざまな電子部品を低温・短時間ではんだ実装できる技術の確立を目指す。今回の成果は14日から東京ビッグサイトで開幕する展示会プリンタブルエレクトロニクス2018で発表される。

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